評価制度で社員のモチベーションが下がる?

2023.03.23評価制度組織づくり

評価制度で社員のモチベーションが下がる?

評価制度は、適切な評価を行うことで、企業や組織の業績向上に貢献することが期待されます。従業員の能力や成果を測定することで適材適所も図れます。しかし、評価制度には弊害が存在します。今回はせっかく導入した評価制度でモチベーションを下げないためのポイントについて解説します。

評価制度5つの問題

評価者のバイアス問題

上司など(評価者)の主観が反映されることがあります。例えば、評価者が自分と同じ背景を持つ従業員に対して高い評価を与える傾向がある場合、他の従業員に不公平な評価が下されることがあります。同じ大学出身だったり、趣味の付き合いがあったりとその肩入れはさまざまです。

また、評価者自身の能力や経験に基づいた評価も偏りを生じる可能性があります。ジャッジする者としてふさわしいのか、またはその業務においての知見やスキルが十分かどうかを見極める必要があります。

評価指標の適正性に関する問題

適切な評価指標を選択することが重要です。しかし、指標が不適切であった場合、従業員の能力や成果を適切に評価することができません。最悪ケース、不公平な評価が下される可能性があります。

自分よりやっていない人が評価されるという不公平感は著しく生産性を低下させます。これは会社への不信感につながります。また、成果の出せる社員が手を抜くこともありえます。意図的に評価指標に合わせた行動をとり、本来の業務に支障が生じることがあります。

モチベーション低下の問題

従業員は評価制度に対して過剰に反応することがあります。例えば、高い評価を得ることが報酬や昇進に直結する場合です。その結果、目標達成が難しければ、本来の業務を怠ることにつながります。又は、プレッシャーからモチベーションの低下やストレスの原因となる場合もあります。

評価に値する仕事だけをして、評価されない業務はやらなくなります。極端な話で例えれば、職場に落ちているごみを拾うか拾わないか。ごみを拾うのは評価されないからやらなくなるという始末です。

フィードバックの不十分さの問題

評価制度には、フィードバックが重要です。しかし、フィードバックの提供が十分に行われない場合、従業員は自分自身の業績や能力を正確に把握することができません。成長や改善の機会を逃すことになります。

評価が年に一回の場合、評価者からのフィードバックが年に一回となります。これではフィードバックの量が足りません。この問題を防ぐには短期間の面談の実施です。進捗に対するフィードバックををこまめに実施することです。

競争激化の問題

評価制度によって、従業員同士の競争が激化することがあります。このため、協力やコラボレーションが阻害され、チームワークが低下することがあります。浅井は完全フルコミッションの営業を経験していますが、チームワームのチの字もありませんでした。

これは、大きなストレスや不安を引き起こすことにもつながります。誰と働くかを重要視する傾向が増えている中で、社内不和を引き起こすきっかけになります。これらの弊害は、評価制度が過剰に重視されたり、不適切に運用されたりすることによって引き起こされます。

評価制度の導入や改善にあたっては、従業員の意見を十分に反映させることが重要です。結果的に、公平で透明性の高い制度を構築することができます。
浅井は評価制度について危惧が一つあります。制度を導入すれば組織のあらゆる問題が解決できるという誤った認識があるのではないかと。評価制度が無いほうが良いパターンもたしかにあります。

評価制度を導入しない方がよいパターン

創造性や柔軟性が重要な場合

創造性や柔軟性が求められる業務では、評価制度が妨げとなることがあります。従業員が自由にアイデアを出し合い、試行錯誤を繰り返すことが重要なフェーズがあります。その場合、評価制度があると、従業員が不必要なリスクを回避することに集中する可能性があります。

特にチームの形成や新規プロジェクトにおいては未だ定まったフローがない状況下が考えられます。その際には、あまりルールや制度でしばらず、イレギュラーを認め、その上でプロセスを磨くことが求められることがあります。

チームワークが重要な場合

チームワークが重要な業務では、評価制度が不要であることがあります。評価制度があると、個人的な利益や目標に集中することになり、チームワークが阻害される可能性があります。

ペア性やチームの成果で評価をすることが好ましく、個人評価を排します。業務の成果をチームとして共有することによって、従業員の動機付けやモチベーションを高めることができます。

役割や業務内容が明確な場合

業務内容が明確である場合には、評価制度が不要であることがあります。官僚制組織(完全分業制)や工場のルーティン作業などの場合、イレギュラーは好ましくありません。

評価制度が不必要になる条件は二つです。1.役割や責任が明確に定義されている。かつ、2.目標や業績が測定可能な場合。

長期的な目標がある場合

長期的な目標を追求する場合には、評価制度が不要であることがあります。短期的な成果に基づく評価よりも、従業員の成長や経験に基づく評価が重要となる場合があります。この場合には評価制度というより、年度単位での昇格制度のほうがマッチしています。主に業務系の方の運用に適しています。

ただし、評価制度が無い場合でも、従業員が成長し続けるためには、フィードバックやアドバイスを提供することが重要です。また、従業員が自己評価を行うことで、自身の成長や改善点を見つけ出すことができます。

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