Z世代へのアメとムチ_XY理論
2023.02.06若手育成組織づくり
Z世代へのマネジメントにお悩みの管理職が多くいらっしゃいます。前回は若手の価値観の変容によるポイントについて解説いたしました。今回も、若手への効果的なマネジメントを実現するために、モチベーション理論を交えて解説いたします。
マグレガーのXY理論
X理論とY理論の人間観に基づくモチベーション理論。X理論は低次の欲求であり、この場合は命令と統制によるマネージメントが重要であるとしている。しかし、低次の欲求は満たされていることが多く、Y理論の人間観に基づいたマネージメントが重要であるとしている。(ダグラス・マクレガーは、アメリカの心理学者、経営学者)
X理論における人間観
・人間は生まれつき仕事が嫌いで、できることなら仕事をしたくない
・命令され、統制されないと、能力が発揮できない。
・命令されることを好み、責任を取りたくない。
解説:性悪説的なX理論では、指示命令の徹底と細やかな行動管理が求められます。昔ながらのマネジメントでアメとムチが効果的なのがX理論にあてはまるタイプではないでしょうか。
Y理論における人間観
・人間はそもそも仕事に対するモチベーションがある
・自ら進んで目標を達成するために、報酬や得られるものによって献身的になる。
・条件次第で自ら責任をとりにいく。
解説:性善説的なY理論では自律が重要となります。自律とは「自らの裁量で仕事を進められる自由度」です。自分で目標値を決めて、計画策定も自主的に行う目標管理制度(MBO:Management By Objectives)が適しています。権限を移譲や職務を拡大することによって動機づけができます。
マグレガーのXY理論的 Z世代のモチベーション考察
理論的にはX理論的マネージメントではなく、Y理論的マネージメントが好ましいとしていますが、果たしてそうと言い切れるかは疑問です。社員の一定層の中には、目標も計画も与えられたい、何をすべきか具体的に教えて欲しいというニーズがあります。
特に新人層ですと、どこを目標にしたらよいのかわからない、具体的に何をすれば目標に近づけるのかというアイデアがないということはままあります。
最終的にはY理論的な自律を促進していくことがゴールではありますが、社員の能力やエンゲージメントによって、使い分けていくことが重要ではないでしょうか。
アージリスの未成熟=成熟理論
人は未成熟から成熟へ向かう成長意欲があるとしている。成長意欲があるという前提で、管理監督を徹底しすぎると、未成熟な特性を求めることになってモチベーションが低下する。そのため、職務拡大(ジョブエンラージメント)によって自己実現欲求を満たし、健全化が図れるとしている。職務拡大は主に、種類の違うタスクにあたらせ、仕事の幅を広げること。(クリス・アージリスは、マネージメント思想家)
受動的行動 → 能動的行動
依存的 → 自立的
単純な行動 → 多様な行動
浅い関心 → 深い関心
短期的展望 → 長期的展望
従属的地位 → 優越的地位
自意識の欠如 → 自覚と自己統制
アージリスの未成熟=成熟理論的 Z世代のモチベーション考察
前述したY理論と同様の考え方で、成長志向でありキャリア志向の社員にあてはまります。職務拡大のみならず、職務充実も効果が見込めます。職務拡大は幅を広げるようなものであり、単純工から多能工化することです。今までAの仕事をしていた場合、後工程のBも担うというケースです。
職務充実はその質や深さを追求します。ポジションが上がり、同じ業務でも管理者、責任者として職務を担うなどがあります。
最近の若手意識調査では「責任を追いたくないので管理職になりたくない」という回答が増えています。一方で「キャリアの質を高めていきたい」というニーズも増えています。いっけん矛盾しているよう見えます。この現象は「大変そうな上司を見ていて、あのようになりたくない」という現実と、成長志向が入り混じった結果ではないでしょうか。
ハーズバーグの動機づけ衛生理論(満足要因・不満要因)
仕事に対して満足をもたらす要因と、職務に対して不満をもたらす要因を区別した。必ずしも不満足な点(衛生要因)をすべて解消したからといって、満足するとは限らないとした。満足をもたらす点(動機づけ要因)に働きかけることによって、不満足な点があったとしてもモチベーションを高めることができるとしている。
動機づけ要因を促進するための具体的方法として職務充実(ジョブエンリッチメント)がある。職務充実とは、仕事の計画、準備、統制といった内容を加え、責任や権限の範囲を拡大させる。仕事そのものを質的に充実させる方法。(フレデリック・ハーズバーグは、アメリカの臨床心理学者)
満足をもたらす要因
・達成感 ・承認 ・褒められる ・必要とされる ・責任
不満をもたらす要因
・人間関係 ・給与 ・労働条件 ・会社の方針 ・作業環境
解説:社員に不満調査をして是正したとしてもモチベーションはあがりません。衛生要因の不満があっても、問題にならない場合もあります。例えば、ミッションやビジョンが明確にある。社会的意義が感じられる。キャリアや成長が感じられる。そのような環境であれば、不満は不満として現れません。致命的な不満足な点は離職などの問題に発展する可能性があるので、注意が必要となりますが、フォーカスするべきは満足要因です。
ハーズバーグの動機づけ衛生理論的 Z世代のモチベーション考察
営業会社のあるあるとして、営業社員に対して社内キャンペーンなどのインセンティヴを強化するという施策があります。これは瞬間的に風速は大きくなりますが、一時的です。また、平時に戻ると低インセンティヴによってモチベーションが低下してしまう事態を招きます。麻薬のようにあげ続けないといけなくなってしまいます。
評価制度もどちらかというと不平等感を払拭する意味合いのものが多く、これは衛生要因に対する施策です。成果を出した社員に対する表彰の色合いを強くすることが、評価制度の効果を最大限にすることができます。
マクレランドの三欲求理論(達成欲求・権力欲求・親和欲求)
主要な動機を3つに分類している。マクレランドは4番目の動機(欲求)として、失敗や困難な状況を回避しようという回避動機(欲求)という概念も追加した。(デイビッド・C・マクレランドは、アメリカの心理学者)
①達成欲求
成功の報酬よりも自分自身がその目標を成し遂げたいという欲求で努力をする。自らの責任で達成をしたいと思い、達成の確立が五分五分の時に最高のパフォーマンスを発揮する。
②権力欲求
他の人々に影響力を発揮してコントロールしたいという欲求。責任あるポジションを好み、ポジション獲得のため、または維持のために能力を発揮させる。
③親和欲求
友好的な人間関係を築きたいという欲求。風通しのよい職場環境を好み、チームメンバーや上司との信頼関係を深めることを好む。
マクレランドの三欲求理論的 Z世代のモチベーション考察
デジタルネイティヴ世代の特徴として、学生時代に友達とSNSでつながることは日常です。彼ら彼女たちがもっとも恐れることは、グループから排除されることです。過度にのけものにされることを恐れ、気を使ったコミュニケーション(変に目立たないこと)を取って育ってきました。彼ら彼女たちの中で培われた資質は「つながり意識」です。最近ではお互いにGPSで居場所を共有するなども普通のようです。
若手は特にマクレランドの親和欲求を強く持っています。社内で味方がいるかいないか。相談できる同期がいるかいないか。なにかあったら助けてくれる上司がいるかいないか。これらは、モチベーションに大きく関わります。
制度として導入するのであれば1on1や、メンターメンティ精度が効果的だと考えられます。
Z世代マネジメントのまとめ
・新人層には具体的な目標を与え、行動を示してあげる
・ある程度業務になれたら、目標を自分で考えさせる
・成長できている実感を与え、成長を認めて評価してあげる
・いつでも相談できる体制や関係値を構築する
・目的や組織目標を常に意識させ、自己効力感を高める
株式会社PDCAの学校
代表取締役 浅井隆志
告知
PDCAの学校が提供する新人・若手向け研修では、他社交流を図りながら繋がりを感じられます。共に成長する仲間をつくる環境があります。自分自身のスキルアップの手ごたえを仲間同士で共有して、お互いにフィードバックをする取り組みもあります。
新人・若手のニーズにマッチした教育施策をお探しなら!まずは無料でご受講できるお試し研修(目標設定&コミュニケーション研修)をご検討ください。
新人・若手向け「目標設定&コミュニケーション」研修
若手社員の意識をギュっと締めなおして行動をガラっと変える
※開催日時はページにてご確認ください >>>詳細ページはこちら
時 間 : 14:00-17:00
対 象 : 新入社員から20代社員の方全業種、全職種対応
場 所 : PDCAの学校 研修ルーム(品川区西五反田7-22-17 TOCビル3階)
価 格 : 人事の方ご見学(30分以上)で無料
新入社員から入社3年目社員の中だるみを改善します。仕事への意欲向上のカギは明確な目標設定から始まります。絵にかいたモチにならないように、具体的行動計画の策定まで実施。他社の若手と触れ合いながら、自身の行動推進力を高めるワーク型の研修です。職種問わず学べる1DAYトレーニングです。
- 株式会社PDCAの学校/
- コラム /
- Z世代へのアメとムチ_XY理論
無料で学べる全4章
Eラーニング「新入社員研修」
ビジネスマナーとホウレンソウなど、ビジネスに必要な知識習得とケーススタディによるスキル習得ができる
- 第一章
- 超実践!ビジネスマナー
- 第二章
- 業務効率向上!ホウレンソウ(報連相)
- 第三章
- 絶対関係構築!コミュニケーション
- 第四章
- クレームをファンに変える!顧客対応
-
CONTACT研修のご相談はこちら
設立以来10年間で延べ
3000社以上72,908名の支援実績 -
RECRUIT採用情報
一人一人の価値を圧倒的に高める
「働きがいを生きがいへ」