部下を育てるフィードバックのコツ

2022.10.05マネジメント組織づくり

部下を育てるフィードバックのコツ

部下を育てるフィードバックのコツ

御社では上司から部下に対するフィードバックは円滑にされていますでしょうか。部下が日々の業務の中から学びえて成長するためにはフィードバックが欠かせません。弊社の若手向け研修の受講者にアンケートを毎年実施していますが、会社への不満ワースト1位は「上司からフィードバックがない」です。指導しているようで指導がされていないのが現状のようです。今回はフィードバックのポイントを解説いたします。


そもそも「フィードバック」とはなにか?

もともと制御工学の分野で「フィードバック制御」という言葉があります。フィードバック制御とは、目標の出力と実数値を比べて、その差を埋めるための改善方法です。端的にまとめれば、目標への軌道修正とも言えます。
部下指導においてのフィードバックとは、部下の目標達成、目指すべきスキル獲得へのアドバイスです。現在の行動のままで過不足はないかを考察して助言をするので、フィードバック制御と同様、行動の軌道修正の役割を担います。

フィードバックには2つの方向がある

フィードバックはポジティブなフィードバックと、ネガティブなフィードバックがあり、主に2つの方向性があります。いずれも相手のためにするものであり、建設的な改善提案であることには変わりません。状況に応じて使い分けも必要になりますし、注意点もあるので解説いたします。

ポジティブフィードバック

ポジティブフィードバックとは、褒める、認める、共感するなどの肯定的なフィードバックです。成果をポジティブに評価するだけではなく、成果につながる良い行動を肯定することが最も大切です。部下は重ねて特定行動をポジティブフィードバックされると脳内でそれが快感となり、その行動を繰り返し習慣化されるようになります。褒められる、認められる、共感されることによって承認欲求や自己肯定感を満たすこともできます。
ただ、いたずらに褒めるだけでは気分を良くすることはできても、成果への貢献は少ないために、ただ褒めるというのは必要ありません。大切なことは成果につながる行動を追認するようにフィードバックすることです。

ネガティブフィードバック

ネガティブフィードバックとは、いわゆるダメだしです。少し前に褒めて伸ばすという考えが広がりましたが、成長には改善点の指摘は必須です。改めるべきことは指摘をされないと本人が気づくことができません。例えば無意識でやってしまう癖というものは誰しもにあるかと思います。当然、無意識でやっているので本人は気づくことができません。気づくことができなければ、改善もできません。なので、ネガティブなフィードバックはあってしかるべきです。

ネガティブなフィードバックは伝え方を間違えてしまうと乏しくモチベーションを下げかねません。注意点は3つあります。
①あなたのためのフィードバックであるということを伝える
「〇〇さんには△△のようになってもらいたいから伝えるね」というような期待を枕詞にするのが大切です。
②個別で伝える
誰しもが人前でダメ出しをされれば面子が潰れます。ネガティブなことを伝えるときの鉄則は個別です。他者がいるとついつい余計なことを言ってしまうこともあり、個別の方が端的に伝えることができます。
③リアルタイムで伝える
「あの時は言わなかったけどさ」から始まるネガティブなフィードバックはとても受け止めにくいものです。タイミングをずらさず、指摘をする時は、その時その瞬間に行うことをおススメします。

一方、ポジティブなフィードバックは他者のいる前の方がより効果は高くなります。叱るときは個別で、褒めるときは皆の前が効果的です。


効果的なフィードバック方法

ポジティブフィードバック=行動の肯定+影響

部下の好ましい行動を肯定し、その影響について伝えます。
「昨日お客様との商談の後に、手書きでお礼状書いていたけど、あの丁寧な対応はとても良いね(行動の肯定)お客様の心もつかめるし、誠実な対応こそ成果への近道だよね。なにより凡事を徹底することは自分を高めることにつながるよね(影響)」

ネガティブフィードバック=行動の否定+理由+期待

部下の好ましくない行動を指摘し、その理由を丁寧に説明します。
「お客様から問い合わせがあって、いつまでに回答しますって期限を決めなかったよね。あれはお客様にも自分にも悪影響しかないよ(行動の否定)期限がないと、お客様は回答がないことにヤキモキしたり、自分自身のスケジューリングの抜け漏れが生まれるから、常に期限を意識しないとね(理由)A君にはもっともっとファンを作って仕事にやりがいをもって欲しいと思うし、みんなの手本になって欲しいから(期待)」

コーチング的フィードバック=承認+質問

部下の良いところを承認します(認める・褒める・共感する・労う)その後に当事者意識をさらに高めるための質問を取り入れます。さらに質の高い仕事をさせるためにも効果的です。
「会議で発表してくれたレジュメ、あれとてもよくできていたね。みんなの反応も良かったし手応えあったでしょ?あそこまでの作りこみご苦労様だったね(褒める・共感する・労う)売上展開のビジョンについては説得力もあったし、みんなのモチベーションにもつながったね。それと、あのプレゼンには利益率に対してのアプローチはなかったけど、A君なりに何か考えはある?もしくはどうしたら利益率が向上できると思う?(質問)」

フィードバック効果を最大限にするために

上司から部下へのフィードバックをしっかりと受けとってもらうためには、日頃からのコミュニケーションの充実や信頼関係が欠かせません。同じ指摘でも誰から言われるかによって、その影響力は変わります。エンゲージメント施策としてもフィードバックは効果的です。


まとめ

成長意欲の強い若手はフィードバックを望んでいます。
フィードバックをすることで成長意識を持たせることも可能です。

『参考』フィードバックの合言葉 かりてきたねこ

か:感情的にならない。態度に気を付ける。
り:理由を説明する。影響をつたえる。
て:手短に伝える。長引かせない。
き:キャラクターにふれない(人格)
た:他人と比較しない。他者を持ち出さない。
ね:根に持たない。繰り返さない
こ:個別に伝える。人前で叱らない。

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