新卒採用の振り返りで見るべき5つのポイント

新卒採用の振り返りで見るべき5つのポイント

新卒採用の振り返りの重要性と基本的な進め方

新卒採用活動が一段落したら、次に大切なのが「振り返り」です。多くの企業では新卒採用に多大なリソースを投入していますが、その効果を検証せずに次年度の採用活動を計画している場合も少なくありません。

振り返りが必要な理由

新卒採用の振り返りを行うことで、採用活動の効果測定ができるだけでなく、改善点の発見や次年度の戦略立案に役立ちます。
採用活動の振り返りを定期的に実施することが、採用目標達成率を向上させるのです。

最適な振り返りのタイミング

振り返りの最適なタイミングは、内定者が入社した直後の4〜5月が理想的です。
この時期なら採用活動の記憶が新しいうえ、内定辞退者の最終数や入社者の第一印象なども含めた分析が可能になります。

必要なデータの収集

振り返りに必要なデータは主に以下のようなものです。

✅応募者数と内定者数の比率
「内定倍率」とも呼ばれ、応募者に対する内定者の割合です。
高すぎる倍率は選考の非効率性を、低すぎる倍率は母集団形成の課題を示唆します。

採用チャネル別の応募者数と採用数
各チャネル(自社HP、就活サイト、合同説明会など)の効果を測定します。
どのチャネルが質の高い応募者を集められているかが明確になります。

✅選考各段階の通過率
各選考段階の通過率を分析することで、プロセスのボトルネックを特定できます。
極端に通過率が低い段階があれば、その改善が必要です。

✅採用コスト
総コストと一人当たりコストを計算することで、コスト効率の良い採用手法が特定できます。

✅内定承諾率と辞退理由
内定者のうち何割が承諾したかと、辞退者の理由を分析します。
辞退理由のパターンから、採用活動や自社の魅力発信における改善点が見えてきます。

✅前年比較データ
すべてのデータを前年と比較し、改善点や悪化した点を特定します。

これらのデータを体系的に収集・分析することで、次年度の採用戦略をより効果的に立案できます。

効果的な振り返りミーティングの進め方

効果的な振り返りミーティングを実施するためには、人事部門だけでなく、面接官を務めた現場のマネージャーや、可能であれば新入社員も交えた多角的な視点での議論が重要です。株式会社リクルートの『就職白書2025』では企業が新入社員の意見を反映して採用活動を改善した結果、離職率が低下した事例がいくつか紹介されています。
データに基づく客観的な分析と、参加者の主観的な感想や気づきを両方取り入れることで、より実効性のある振り返りとなります。

新卒採用の振り返りで必須な5つのポイント

新卒採用の振り返りを効果的に行うには、以下の5つのポイントに着目することが重要です。
これらのポイントを押さえることで、次年度の採用活動をより戦略的に計画することができます。

ポイント1: 採用数と採用コスト

まず確認すべきは、目標採用数に対する達成率と、それにかかったコストです。リクルート 就職みらい研究所の「就職白書2020」によれば、1人当たり90万円~95万円程度となっています。

自社の採用コストが業界平均と比較してどの程度かを確認し、コストパフォーマンスの良い採用チャネルと悪いチャネルを特定しましょう。

ポイント2: 採用チャネル別の効果分析

各採用チャネル(就活サイト、合同説明会、インターンシップなど)からの応募者数、選考通過率、内定承諾率を比較分析します。

たとえば、一般応募者の内定承諾率が5割程度で、インターンシップ参加者を採用した場合に内定承諾率が7割を超えるといった状況であれば、インターンシップへ投資を増やすことが効果的なこと、一般応募者の採用過程の見直しが必要ということが分析できます。

ポイント3: 選考プロセスの効率性

選考の各段階ごとの通過率と、そこにかかった時間や人的リソースを分析します。
エントリー、
書類選考、筆記、一次面接、二次面接 etc…

特に低い通過率の段階や、結果として採用につながらなかった選考項目があれば、その必要性を再検討する価値があります。選考プロセスの効率化は単に採用担当者の工数を削減するだけではありません。
企業にとっては、無駄なコストの削減にもつながります。

ポイント4: 内定辞退率とその理由

内定辞退率が高い場合は、その理由を詳細に分析することが重要です。近年はこのような理由が目立っています。

「他企業の内定が決まった」「社風が合わない」「勤務条件が合わない」
志望業界・職種が変わった」「企業理解が進まないまま選考が進んだ」

就活世代の働く価値観を理解した上で自社の強みや実際の職場環境をより明確に伝える工夫をすることで対応していきましょう。

ポイント5: 入社後の活躍度・定着率

新卒採用の真の成果は、入社後の活躍と定着にあります。
前年度入社の新卒社員の定着率、人事評価、上司・先輩からの評価などを分析し、優秀な人材の共通点を探ります。

共通点に関しては、適性検査を用いて、実際に人材配置で活用されている企業様もいます。

振り返りを次年度の採用計画に活かす方法

これらのポイントを分析した結果を、具体的なアクションプランに落とし込みましょう。
生成AIを用いて数値分析をしてもらい、アクションプランの提案まで出すというのもおすすめです。

アクションプランの例
① 効果的だった採用チャネルへの予算配分を増やす
② 低効率だった選考ステップの簡素化や廃止
③ 内定辞退理由に対応する情報発信の強化
④ 入社後に活躍している社員の特性を選考基準に反映させる

まとめ

新卒採用の振り返りは、単なる結果報告ではなく、次年度の採用成功に直結する重要なプロセスです。

本記事で紹介した5つのポイント—採用数と採用コスト、採用チャネル別の効果分析、選考プロセスの効率性、内定辞退率とその理由、入社後の活躍度・定着率—を多角的に分析することで、より効果的な採用戦略の立案が可能になります。

新卒採用市場は年々変化しており、過去の成功体験だけに頼った採用活動では十分な成果を上げることは難しくなっています。定期的かつ綿密な振り返りを通じて採用活動を継続的に改善していくことが、優秀な人材の獲得と組織の持続的な成長につながるのです。


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