【2026年】法改正への対応は整えた。でも、それだけで本当に大丈夫?

【2026年】法改正への対応は整えた。でも、それだけで本当に大丈夫?

2026年度に向けて、人事・労務担当者が対応を迫られる大きな法改正が3つあります。本コラムでは、これらの改正内容を詳しく解説するとともに、単に制度を整えるだけでは不十分な、現場で陥りがちな「落とし穴」とその対策についてお伝えします。

\ 本稿の動画版はこちら /

 

1.カスタマーハラスメント(カスハラ)対策の義務化

📅 2025年6月公布 / 2026年12月までに施行

カスハラの現状と背景

厚生労働省のデータによると、セクハラやパワハラが研修などの効果で減少傾向にある一方、カスハラは年々増加しています。

72%
就業環境が害された
経験を持つ人の割合
約2倍
カスハラ経験者の
転職意欲(未経験者比)
約4割
対策が未実施の
企業割合

カスハラの内容は、暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求、著しい迷惑行為など多岐にわたります。

企業に求められる対応とリスク

企業には以下の措置を講じることが求められます。対策を怠った場合、行政からの助言・指導にとどまらず、勧告や企業名の公表が行われる可能性があります。これは企業のブランドイメージを著しく損なうだけでなく、従業員の離職にも直結します。

相談窓口の整備
・ハラスメント研修の実施
・迅速な対応フローの構築

「落とし穴」と対策のポイント

対策として有効なのは、単なるマニュアル整備だけでなく、「クレーム応対研修」の強化です。カスハラと正当なクレームの線引きを明確にすること、そして従業員が一人で抱え込まずに上司や組織が組織的に対応できる体制を作ることが重要です。

💡 厚生労働省の「対策企業マニュアル」や「明るい職場応援団」などのサイトにある無料の動画・資料も積極的に活用しましょう。

2.女性活躍推進法の改正:開示義務の拡大

📅 2026年4月1日 施行

主な改正内容

これまで努力義務だった中堅・中小企業でも情報の公表が義務化されます。

企業規模 義務化される公表項目
101名〜300名 男女の賃金差異・女性管理職比率(新規義務化)
301名以上 男女の賃金差異(既存) + 女性管理職比率(新規追加)

情報の公表と採用力への影響

企業は、職業生活に関する機会提供や雇用環境の整備に関する項目(採用倍率、有給取得率、育休取得率、残業時間など)の中から選択して公表する必要があります。

⚠️ 現代の若手社員や求職者は、ジェンダー平等の意識が高く、企業が男女問わず活躍できる環境を整えているかを重視しています。情報を適切に開示し、実態を改善していくことは、採用力の強化や安心感のある職場作りに直結します。

3.ストレスチェック制度の義務化:全事業所への拡大

📅 根拠:2025年5月 労働安全衛生法改正

制度の目的と対象者

これまで50人未満の事業場では努力義務だったものが、全企業で義務となります。この制度は、従業員自身のセルフケアを促すとともに、高ストレス者の早期発見、職場環境の改善、メンタル不調の未然防止を目的としています。

【対象者】
・正社員
・所定労働時間の3/4以上働くパート、アルバイト
・契約期間1年以上の契約社員

深刻なメンタル不調の現状

7社に1社
(13.5%)メンタル不調で1ヶ月以上の
休業・退職が発生した事業所

特に若手社員において、入社数ヶ月で適応障害を発症するケースも増えており、早期発見の仕組み作りは急務です。

 

\ 本稿の動画版はこちら /

 

【重要】法改正対応に潜む「最大の落とし穴」

これらの法改正、特にストレスチェックやハラスメント対策を進める上で、人事が最も注意すべきなのが「管理職の萎縮」による生産性の低下です。

「言えない・言わない・優しい」管理職の増加

「高ストレス者を出してはいけない」「ハラスメントと言われるのが怖い」というプレッシャーから、管理職が必要な指導を避けてしまう「指導回避」が起こっています。その結果、職場が「ゆるく」なり、部下が成長を実感できずに離職するという逆転現象が起きています。

若手のニーズ:実は「はっきり言ってほしい」が76%

76%
「甘く言われるより、はっきり言ってほしい」
と考える若手社員

彼らは、自分では気づけない点に気づき、成長したいという意欲を持っています。フィードバックがない「ネオブラック企業(ホワイトすぎて成長できない職場)」を嘆く声すらあるのです。

目指すべきは「学習する職場」

目指すべきは、ストレッチゾーンを意識した職場環境です。

パニックゾーン
過度なストレスで潰れてしまう状態
メンタル不調や離職の一歩手前
✅ ストレッチゾーン
心理的安全性を保ちながら、
少し背伸びが必要な目標を与える
 目指すべき職場環境 
コンフォートゾーン
何の刺激もない「安心領域」
成長を期待できない
🔑 心理的安全性を保ちながら、仕事の基準を下げずに適切な指導を行うことが、メンタル不調を防ぎつつ生産性を高める唯一の道です。

まとめ:制度を「形」だけで終わらせないために

2026年の法改正への対応は、単に書類を整備したりシステムを導入したりするだけでは不十分です。大切なのは、「適切な指導ができる管理職の育成」をセットで行うことです。

部下の行動や結果に対して、事実に基づいたフィードバックを行う「SBIIモデル」などの手法を社内に普及させることも一つの解決策です。

【今回のポイント】

カスハラ対策の義務化は2026年12月までに施行。相談窓口・研修・対応フローの構築を

女性活躍推進法改正で101名以上の企業に女性管理職比率の公表が義務化(2026年4月)

ストレスチェックが全事業所に義務化。メンタル不調の早期発見体制を

☑ 法改正対応の「最大の落とし穴」は管理職の指導回避による組織の停滞

☑ 若手の76%は「はっきり言ってほしい」。適切な指導ができる管理職の育成をセットで

制度の導入を「守り」の対応で終わらせるのではなく、組織を強くする「攻め」の機会と捉え、現場の指導力向上に取り組んでいきましょう。

 

株式会社PDCAの学校 働きがいを生きがいへ

無料で学べる全4章
Eラーニング「新入社員研修」

ビジネスマナーとホウレンソウなど、ビジネスに必要な知識習得とケーススタディによるスキル習得ができる

第一章
超実践!ビジネスマナー
第二章
業務効率向上!ホウレンソウ(報連相)
第三章
絶対関係構築!コミュニケーション
第四章
クレームをファンに変える!顧客対応
無料で学べる全4章