ジョブ型雇用とは?特徴やメリットを分かりやすく解説
2021.11.11マネジメント
企業によって雇用の形は大きく異なりますが、日本で古くから取り入れられているのが「メンバーシップ型」です。しかし、近年は海外で主流となっている「ジョブ型」に切り替えた方が良いのではないかと考える企業が増えました。
ここでは、ジョブ型雇用とは何か、特徴やメリット、デメリットなどについてご紹介します。
■ジョブ型雇用とは?
ジョブ型雇用とは、あらかじめ職務内容を記述した職務記述書をもとに雇用契約を結び、その文書で取り決めた範囲内のみの仕事をする雇用契約です。そのため、例えば手が空いたからといってあらかじめ取り決めていない業務を任せるようなことはできません。
仕事に対して、その業務ができる人を割り当てる雇用契約のスタイルです。
一方、日本で昔から主流だった雇用形式は、メンバーシップ型と呼ばれ、人に対して仕事を割り当てるスタイルでした。しかし、新型コロナウイルスの影響や働き方改革によってリモート化が進んでいる現在、適した働き方はジョブ型雇用ではないかと考える企業が増えているようです。
■ジョブ型雇用の特徴
ジョブ型雇用は、メンバーシップ型雇用やタスク型雇用とどのような違いがあるのでしょうか。おさえておきたい特徴についてご紹介します。
業務内容
ジョブ型雇用で担当する業務内容や求められるスキルについては、あらかじめ職務記述書で明確になっています。限定的であり、なおかつ専門性が高い業務に対応できる人材を探すのにも効果的な方法です。
なお、専門性は課題(タスク)ごとに雇用するタスク型雇用の方が高くなります。
一方、メンバーシップ型雇用では人材を育てながら仕事を任せるため、それほど個人の専門性は高くなりません。専門性が高くない代わりに、様々な業務に対して総合的なスキルや知識を身に付けられるといった違いがあります。
転勤の有無
ジョブ型雇用は、基本的に転勤はありません。タスク型雇用についても同様です。しかし、メンバーシップ型雇用の場合は会社都合での転勤などにも対応が必要になります。
賃金制度
ジョブ型雇用はあらかじめ賃金が細かく定められています。また、専門性が高い業務を担当することになり、スキルや能力があるほど高収入になるケースが多いです。
メンバーシップ型雇用の場合は年齢、社歴などによって賃金が上がります。年功序列のケースも多いです。
研修体制
基本的にジョブ型雇用ではあらかじめ知識があり、専門性の高い人材を採用することになります。そのため、十分な研修は用意されていないケースが多いです。
一方、メンバーシップ型雇用は会社で人材を育てていくことになるため、丁寧な研修を用意している会社がほとんどです。
勤務評価
一般的にジョブ型雇用では、業務に対してどの程度の成果があったのかを判断基準としています。そのため、明確な評価が得られるのが特徴です。
メンバーシップ型雇用の場合は、労働時間によって評価を行う点が異なります。
■ジョブ型雇用のメリット・デメリット
ジョブ型雇用には、メリットだけではなく、デメリットもあります。それぞれについてご紹介します。
メリット
ジョブ型雇用のメリットとして挙げられるのが、知識や能力を持った人材を採用するスタイルであるため、研修などのコストを削減できる点です。メンバーシップ型雇用とは異なり、初めから能力のある人材を雇用できるため、業務がスムーズに進むことも期待できるでしょう。
求めている人材やスキル・知識についてはあらかじめ募集段階で提示しているので、ミスマッチを防ぎやすいのもメリットです。
働く側としても、自分の専門性を活かした業務ができる、やるべき業務が明確になっているなどのメリットがあります。また、異動や転勤などに対応しなくて良いのもメリットだといえるでしょう。
デメリット
ジョブ型雇用では職務記述書に記載されている業務しか頼めません。そのため、ジョブ型雇用で採用した人の担当業務が暇な状態の時に、他の業務を手伝ってもらえないのはデメリットです。
ジョブ型雇用で採用された方は自分の業務だけを行うことになるので、なかなかチームワークを育むのも難しいです。
また、専門性が高い人を雇えるのはメリットですが、だからこそ仕事が属人化しやすくなってしまう点は注意しておかなければなりません。
働く側のデメリットとして、研修が用意されていないことが多い点が挙げられます。そのため、自分でスキルを磨くための努力をしていかなければなりません。
また、メンバーシップ型雇用の場合は自分の担当の業務がなくなると他の業務を回されることになりますが、ジョブ型雇用は長期雇用の保証がありません。そのため、担当している業務がなると、場合によっては契約終了になってしまう可能性があるのもデメリットです。
■ジョブ型雇用を採用する際には慎重に検討が必要
ジョブ型雇用の特徴やメリットなどについてご紹介しました。従来の雇用方法であるメンバーシップ型雇用から、ジョブ型雇用への切り替えを検討している企業もあるでしょう。しかし、ジョブ型雇用には、メリットだけではなくデメリットもあります。
どちらが向いているかは企業によっても変わってくるので、十分に検討したうえで導入するかどうか決定しましょう。
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