味の素の人材育成の秘密とは?具体的にご紹介
2021.11.11組織づくり
自社の人材育成に考えた際、他社が行っている方法が参考になることがあります。そこで、味の素株式会社が行っている人材育成についてご紹介しましょう。具体的な人材育成について知ることで、自社に活かせそうなポイントも見えてきます。
より良い人材育成につなげたいと考えている企業の担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
■味の素の人財(人材)育成体系とは
味の素株式会社(以下味の素)は、東京都中央区に本社を構える食品企業です。うま味調味料である「味の素」などの製造販売を行っていることで知られています。味の素では人材を「人財」と表現し、財産と考えています。
味の素が目指しているのは「確かなグローバル・スペシャリティー・カンパニー」です。その実現のため、世界レベルの多様な分厚い人財を育成するための取り組みが行われています。
味の素のDNAとして考えているのは「人を求めてやまず、人を活かす。」です。一人ひとりの社員だけでなく、会社がともに成長することにより、働きがいを感じられるようなグループを作る取り組みに力を入れています。
■味の素の人財育成6つの秘密
味の素が実践している人財育成について、具体的にご紹介しましょう。ポイントは、以下の6つです。
1.グローバルレベルでの適所適材の徹底
味の素は「グローバル人財マネジメントシステム」を取り入れています。グローバル人財マネジメントシステムとは、人財の適所適財を実現するための取り組みです。
味の素は大きな企業ということもあり、日本だけでなく、各国にグループ企業に所属している多様な人財がいます。そういった人財を横断的に育成したり、登用したりすることによりグローバルレベルでの適所適財実現を目指しています。
2.3段階の育成プログラム
味の素が用意しているプログラムは「気づき」「充実」「さらなるステップアップ」の3段階です。
「気づき」では、階層別のプログラムがあり、例えば、新人研修やフォロー研修が用意されています。対象となるのは、おもに20~30代です。
「充実」ではコアとなる能力といえる思考力や対人力、主体性を伸ばすための取り組みが行われています。自己啓発やマネジメント能力に関する育成プログラムが整備されているので、確実に力をつけていけるでしょう。対象となるのは主に30~40代です。
「さらなるステップアップ」は主に40~50代を対象とした育成プログラムとなっています。それまでよりも高い視座・広い視野を持つことにより、力を発揮できるような社員を育てるためのプログラムです。選抜リーダー研修や経営戦略講座、選抜型グローバルリーダー研修など、組織をまとめていく人財を育てるのに役立つようなプログラムが用意されています。
3.働き方改革の促進
政府が進めている働き方改革に対して、積極的に取り組んでいます。
例えば、2017年には「週4日どこでもオフィス」制度を始めました。自宅やサテライトオフィスだけでなく、セキュリティが確保されていて、なおかつ集中して勤務できる場所であればどこでも勤務が可能なテレワークの制度です。
他にもペーパーレス化やICT環境の整備など、これまでに様々な取り組みを行ってきました。他にも退社時間の繰り上げやコアタイムなしのフレックスの導入を行い、柔軟な働き方に対応しています。
4.働きがいの測定と改善
味の素グループが特に重視しているのが、「働きがい」を感じられるような働き方です。定量的に社員の「働きがい」を測定する取り組みを行っています。グループ全体の社員に対してどのように感じているか意見を求めたところ、80%近くが働きがいを感じているとの調査結果が得られました。
その結果を受け、改善点を見つけながらさらなる働きがいに繋がるような結果を目指しています。
5.女性人財の育成支援
味の素は、ダイバーシティの取り組みとして女性活躍・登用に取り組んでいます。女性人財が働きやすくなるよう、若手女性を対象としたキャリアワークショップ&カレッジなどを行いました。
更に、管理職に就任を支援するためのメンタープログラムなども行われています。
6.DXビジネス人財の育成
味の素では、企業の価値を向上させるDXが必要との考え方から、ビジネス人財育成プログラムを開始しました。2025年までに200人のビジネスDX人財確保を目指しており、更には2030年までに全社ビジネス人財化することを目指しています。
他にも2030年までにはシステム開発者を現在の50人から200人まで増やすこと、データサイエンティストも20人、50人と段階的に増やすことを目標として定めました。
■他社から人材育成を学ぶ
味の素が実践している人財(人材)育成の詳細についてご紹介しました。自社の人材育成を見直したい、他社を参考にしたいと考えた際には、真似できる部分もあるのではないでしょうか。
人材育成は自社に合った形で行っていくことが大切なので、同様の人材育成を行えば必ずしも成功するとはいえません。ですが、自社でも取り入れられそうなポイントがあれば参考にしてみてはいかがでしょうか。
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