若手のモチベーションはどこにある?
2022.11.25若手育成組織づくり
「若手のモチベーションはどこにあるんだろう・・・・・・」「最近の若手は意欲がない・・・・・・」と感じたことはありますでしょうか?
確かにマネジメントする側の私たち世代(浅井は1976年生)と比べて、車が欲しいとか時計が欲しいなどのブランド志向は薄れています。しかし若手世代は私たちとは違う貪欲さがあります。今回はモチベーション理論をいくつかご紹介しながら、若手のモチベーションの傾向について解説いたします。
マズローの欲求段階説(自己実現論、欲求5段階説)
低次の欲求が満たされると高次の欲求が生まれるという説。
①生理的欲求
生命を維持するための本能的な欲求で、食事・睡眠・排泄などがある。極端に欠乏していると、生理的欲求が他のどの欲求よりも最も主要な動機付けとなる。
解説:衣食住のために仕事を選ばず働くというのは現在においては皆無でしょう。人手不足の現在、働く場所には選択肢があります。イメージで言うと戦後まもなくの労働市場においてのニーズと捉えれば分かりやすいかもしれません。
②安全の欲求
経済的安定性、良い健康状態の維持、良い暮らしの水準、事故の防止、保険や保障の安心ど、予測可能で秩序だった状態を得ようとする欲求。
解説:顕著に現れるのは将来への不安です。社会保険や厚生年金、企業型拠出年金などに関心が強いのはこのカテゴリーです。しかし、このカテゴリーを満たしたからと言って労働意欲が増すわけではありません。
③所属の欲求
自分が社会に必要とされている、果たせる社会的役割があるという感覚。会社内では相談できる仲間がいる、助けてくれる上司がいるという安心感。
解説:Z世代はデジタルネイティヴ世代で、子供の頃からSNSで人と繋がっています。もっと若い世代はLINEネイティヴ世代とも言えます。リアルな友達とのつながりの中で、SNS上で悪口を言われたり、グループに入れないなどという排他的なことを極端に気にします。特に若い世代は確かな繋がりというニーズがあります。
④尊重の欲求
いわゆる承認欲求。人は他人から価値ある存在だと思われたい。そして、高次において人は自分自身で価値ある存在だと思いたいという欲求。
解説:一昔前は目立つことで自我を確かめるという風潮がありました。高級車や高級な時計を所有したいという欲求です。しかし現在の若手は目立つことを嫌います。前述した繋がりの方が重要で、目立つことで批判の的になりたくないという恐れです。
⑤自己実現の欲求
自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、自分に適している状況を作りたいという欲求。夢やビジョンの達成欲求であり、充実を願う欲求。
解説:就職する会社選びの理由として「社会貢献性」や「SDGs」への取り組みに関心が高まりつつあります。自分事ではなく、貢献や価値提供による自己実現を求めるニーズの現れです。
マズローの欲求段階説 追加解説
①~④の欲求を欠乏欲求、⑤自己実現の欲求を存在欲求としています。欠乏欲求と存在欲求とは質的に異なるものと定義しています。また、欠乏欲求を十分に満たした経験のある人は、欠乏欲求に対してある程度耐性を持つようになります。そして、成長欲求実現のため、欠乏欲求が満たされずとも活動できるようになることがあるとのことです(例:一部の宗教者や哲学者、慈善活動家など)。晩年には、自己実現の欲求のさらに高次に「自己超越の欲求」があるとしました(アブラハム・ハロルド・マズローは、アメリカの心理学者)
マズロー的 若手のモチベーション考察
1976年生まれの浅井は、幼いころはまだまだ貧しい家庭というのが散見された記憶があります。現在の若手は貧しい家庭に触れる機会は少ないのではないでしょうか。
親の価値観も「生きていくために仕事をする」から「自分のやりたいことをやる」というように変容したことによって、若手は生活のための仕事ではなく、目的を持った仕事観に変わったのではないでしょうか。
このような変遷を考慮すれば「仕事で成果を出して稼いで贅沢するために」という動機づけはニーズに合致しないことがお分かりいただけると思います。
また、繋がり意識の強い若手世代には、上下関係がバリバリのヒエラルキー型組織(パワーバランスの階層)より、よりフラットなチーム制の組織の方が、若手のパフォーマンスが発揮されるかもしれません。
さらに、マズローの欲求段階説に解釈と独自の見解を付け加えたERG理論もご紹介します。
アルダファーのERG理論(生存・人間関係・成長)
・基本的な生存の欲求(Existence)
・人間関係にかかわる関係の欲求( Relatedness )
・人間らしく生きたい成長の欲求( Growth )
マズローの欲求段階説とは異なり、3つの欲求が同時に存在したり並行したりすることがありうるとしています。また成長欲求が満たされなければ、それに対する関心が低くなり、他の欲求が強くなるといった点もあるとしています。(クレイトン・ポール・アルダーファーは、アメリカの心理学者、コンサルタント)
ERG理論的 若手のモチベーション考察
まさに若手のニーズを表している理論ではないでしょうか。生存の欲求は待遇や福利厚生(将来への不安払しょく)として現れます。
離職の第一位の理由は人間関係です。若手の一番のモチベーションと言われているのが、成長、スキルアップ、キャリアアップです。
総まとめ
時代は所有からシェア(共有)へと変わりました。車も買うものではなく、カーシェア。家具も買わずにレンタルというサービスが普及しています。
マネジメントする側の私たちの価値観と若手の価値観の違いを把握し、若手の価値観にあったマネジメントが重要です。
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