新入社員研修を自社で行う際の注意点を専門家が解説
2020.12.02
新人社員研修は自社で行う方法のほか、外注する選択肢もあります。自社で行うことを検討している方のために、外注と比較するとどのような違いがあるのか、実際に新人社員研修を設計する際にはどのような注意点があるのかなどについてご紹介しましょう。
新入社員研修の外注と内製の違い
新入社員研修を専門業者に外注するのと、自社で行う内製はどのような違いがあるのでしょうか。それぞれの特徴とメリット、デメリットについてご紹介します。
自社にとってどちらのメリットが大きいのか、デメリットが少ないのかを考えると最適なほうを選択しやすくなるでしょう。
外注のメリット・デメリット
これまでに新人社員研修を行ったことがなく、全くノウハウがないような場合は専門的な研修を行ってくれる専門家に外注を依頼したほうが安心です。特に、これまで多くの新入社員研修を実践してきた経験がある外注先なら、安心度も高く、効果的な研修を行うことができます。
専門性や効率、効果を重視している企業にとってのメリットが大きいです。
一方、外注した場合の注意点やデメリットとして挙げられるのが、費用や細かい部分での調整などの問題です。自社で行うのに比べると研修費用は高くなりますし、パッケージ研修しか用意されていない場合は、それを自社にとって最適な形にカスタマイズしていくのが困難なケースもあります。
スケジュールなどについても、自社内で行うものなら細かく調整できますが、外注先のスケジュールにも合わせなければならず、苦戦してしまうことが多いです。また、すべて外注先に依頼してしまうと、自社内で新入社員研修に関する知識や経験を積めないのもデメリットです。
内製のメリット・デメリット
パッケージ研修ではなく、細かく自社が求めている内容に合わせて調整しながら新人社員研修をしたいのなら、内製のほうが向いています。新入社員研修に関する知識と経験を積む中で、より良くするにはどうすれば良いのか知識を蓄積できるのもメリットといえるでしょう。また、外注よりも研修費用を抑えることができます。
ただし、研修のために準備しなければならない資料や会場の手配、カリキュラムの開発、教育スタッフの育成などを考えると、社内コストが高くなるのがデメリットです。
場合によっては外注したほうが安く済むようなケースもありますし、費用についてはよく確認が必要です。社員講師の質が悪ければ効果的な研修はできません。
自社で新入社員研修を設計する際には、ただやみくもに「仕事ができる社員を育てる」と考えるのではなく、どのような人材になって欲しいのかゴールを定めることが重要です。その際、先に経営戦略を理解し、事業成果を上げることができるのはどのような人材か考えたうえでそれを実現するためのゴールを定めましょう。
次に現在の新入社員の能力を把握することが大切です。一人ひとり入社時の能力は異なるため、能力に合わせてゴールまでのプログラムを考えていかなければなりません。年間のプログラムを考える際には、事前に把握した個人の能力とゴールまでの道程を考え、それを実現するためのプログラムを考えることになります。
ポイントとしては、研修の中で行う講義はあまり学んだことの定着率が高いといえないので、定着率が高いとされるアクティブラーニングを取り入れましょう。実際に自分で体験したり、他の人に教えたりするアクティブラーニングが効果的です。
注意点として、研修のみで学べることは多いといえず、新入社員は実際の仕事中に体験する経験や、周囲との関わりの中で大部分を学んで行きます。そのため、新入社員研修が終わったらそれで終わりではなく、研修後しばらく業務経験を積んだ頃に、きちんとフォローがいき届いているか振り返るなどのプランを検討しておきましょう。
自社で新入社員研修を行う際には、一度きりの講義による新入社員研修ではなく、長期にわたって取り組めるプログラムを考えるのがポイントです。
失敗しない外部研修や講師の選び方
外部に委託する場合、柔軟性を持って自社が求めている内容の研修をしてくれるか重視しましょう。また、これから新入社員として働くため、プロ意識を育ててくれるマインド教育を行っているか確認が必要です。
ただ単に、型に沿ったビジネスマナーを指導してもらうだけではプロ意識は育たないので、指導内容は詳しく確認しましょう。先述したアクティブラーニングを実践している会社を選ぶと、新人研修の内容が身に付きやすくなります。
条件の良い研修会社は価格が高くなりがちですが、安さを重視してしまうとほとんど得られることのない新人研修になってしまう可能性があるので、注意が必要です。
新入社員研修の効果測定と注意点
自社で行っている新入社員研修できちんと効果が出ているのか確認する方法としては、定期的に同僚や部下、上司など数名が新入社員の職務行動をする「360度評価」を行うとどのように変化しているのかわかりやすいです。
同じく、定期的にモチベーションを確認しましょう。また、業務の中で学んで欲しい知識やスキルがある場合は、定期的に理解度テストを行うことで効果を測定しやすくなります。
注意点として、360度評価をすることによってできていないことや課題が浮き彫りになりますが、その際にできていないことを指摘するだけだと新入社員のやる気低下に繋がってしまう恐れがあるのです。そうではなく、成長するためのポイントを伝え、サポートにつなげましょう。
新入社員研修は人材定着とも関わりが深い
新入社員研修は、ただ社会人としてのビジネスマナーを教えるだけの場ではなく、社内で活躍してくれる人材を育てるため非常に重要な役割を持っています。社内で新入社員研修を行いたいと考えているのなら、どのような形で実践していくのかよく検討しなければなりません。
一度きりだけでなく、長期にわたり研修を取り入れていくことが大切で、業務に関することはもちろんのこと、モチベーションなどのサポートも行いながら新入社員の育成を行いましょう。
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