Google(グーグル)の人材育成の秘密とは?具体的にご紹介
「社員が指示待ちになっている」
「現場から新しいアイデアが全く出てこない」
自社の人材育成に、そんな行き詰まりを感じていませんか?もしかすると、その根本的な原因は、細かく管理して業務を遂行させる「従来の日本型マネジメント」にあるかもしれません。
本記事では、世界トップクラスのイノベーションを生み出し続ける「Google(グーグル)」の人材育成術にフォーカスします。徹底した管理をあえて手放し、社員の自律性を最大限に引き出す独自のマネジメント手法から、採用段階で重視される4つの明確な基準までを徹底解説。規模や業種を問わず、自社の組織をアップデートし、強いチームを作るための実践的なヒントをお届けします。
この記事でわかること
- Googleと日本企業における人材育成の決定的な違い
- 革新を生み出す2つの独自メソッド
- ハイパフォーマンスなチームの必須条件
- Googleが採用で最も重視する「4つの基準」
- 自社にGoogle流のエッセンスを導入するための具体策
目次
Googleと日本企業の人材育成の方針の違いとは?
Googleは、一般的な日本企業と異なる人材育成の方針を取っています。大きな特徴といえるのが、トップがすべてを命令・管理しない自由な働き方です。
日本では、上司や先輩に言われたことをこなすといった形で業務を学んでいくケースが多いのが特徴です。一方のGoogleでは、従業員の自由を重視しているという違いがあります。
また、日本の企業では管理職がいて当たり前の存在ではありますが、Googleでは社員にのびのびと働いてもらうため、一時的に管理職であるマネージャー職をなくしたこともあります。こういった日本ではあまり見られない取り組みを行っているのも、Googleならではの特徴だといえるでしょう。
Googleの人材育成の秘密
ではさっそく、Googleではどのような人材育成の方法がとられているのかについて解説します。自社で取り入れられるメソッドがあれば、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。
OKRメソッド
OKRメソッドとは、Googleだけではなく、Facebookやメルカリなどでも活用されている方法です。
OKRは「Objectives and Key Results(オブジェクティブズ アンド キーリザルツ)」の略であり、直訳すると「目標と主な成果」のことをいいます。目標設定や計画の再評価の際に活用されており、自分の目標を明確化するのに役立つ方法です。
ポイントは1つの「O」(目標)に対して、複数の「KR」(主な成果)を組み合わせる点です。例えば、チームで達成したい目標を定め、2〜5つ程度の主な成果を組み合わせて考えます。
あとはチームのメンバーでOKRを共有し、定期的にコミュニケーションを図りながら進捗を確認します。そして、目標期間が終わった後に成果を測定し、場合によってはその傾向を会議などで報告する形です。目標は、100%達成できていなくても、6~7割程度達成できれば成功とみなして良いでしょう。
20%ルール
「20%ルール」とは、勤務時間の一定時間を、本業以外の自身の興味があるプロジェクトに費やせる仕組みのことをいいます。Googleの場合はこの一定時間を20%と定めていますが、企業によっては15%や10%と定めて取り組んでいるところもあります。
一般的には「費やしても良い」という考え方なのですが、Googleではこの仕組みが文化として強く推奨されてきたのが特徴です。つまり、業務のうち20%を本業以外のなにかを生み出すために使うことが奨励されています。これはイノベーションにもつながる方法だといえます。(現在は許可制になっているという証言もあるようです。)
チームとして有効な「心理的安全性」の確保
Googleでは、チームを成功させるためには、なにかミスをしても非難されることがないと思えるような「心理的安全性の高いチーム」が必要と考えています。お互いをリスペクトする仕組みをつくり、チームメンバーが本音で語り合えるようにし、難易度の高い取り組みにも挑戦しやすい状況を整えているのも特徴です。
Googleが採用時に重要視しているポイント4選
Googleで採用を決める際に、なにを重視しているのかについてご紹介しましょう。
日本企業の場合、上司からの命令をきちんと遂行できるかどうかを重視して採用を決めることもあります。
一方で、Googleが重視しているのは、創造性や情熱、想像力などです。ここからは、Googleが特に重要視している、採用における4つのポイントを解説します。
Googliness
Googlinessとは、一言でいえば「Googleのカルチャーにフィットし、組織をより良くできるか」という指標です。明確なマニュアルはありませんが、「常に正しいことをしようとする高い倫理観」「曖昧な状況を楽しむポジティブさ」「他者を尊重し、多様性を受け入れる姿勢」などが含まれます。
単にスキルが高いだけでなく、情熱を持ってチームに良い影響を与え、自発的に動ける人材かどうかが問われます。
リーダーシップ
Googleが求めるリーダーシップは、役職や肩書きに基づくものではありません。これは「創発的リーダーシップ(Emergent Leadership)」と呼ばれ、問題が発生した際に自ら手を挙げてチームを導き、解決したらスッと一歩引いて他の人に権限を譲ることができる柔軟なリーダーシップを指します。
実力があっても「誰かの指示を待つだけ」の受け身な姿勢や、逆に「常に自分が主導権を握りたがる」ワンマンなタイプは求められていません。
専門性
そのポジションで成果を出すために必要な、独自の知識やスキルを持っているかを評価します。Googleは常にゼロから新しい価値を生み出すことにこだわっているため、単に過去の経験則に頼るだけでなく、「自分の専門知識を応用して、どう新しい課題に立ち向かうか」という視点が重視されるのです。
営業や企画など、専門性が測りにくい職種であっても、ビジネスに対する深い洞察力や幅広い教養、そしてなにより「学習意欲」がチェックされます。
General Cognitive Ability(GCA)
GCAとは、IQテストのようなものではなく「正解のない複雑な問題に対して、どのように考え、解決に導くか」という思考プロセスのことです。専門知識や過去の経験に頼るのではなく、自分が経験したことのない未知の状況に直面したときに、現状を分析し、論理的に仮説を立てて解決策を導き出す能力が問われます。
Googleから学ぶ育成と採用のポイント
Googleの人材育成や採用方法は、一見すると「グローバルIT企業だからできること」「自社にはハードルが高い」と感じられるかもしれません。確かに、企業によって最適な組織体制は異なるため、すべての制度をそのまま真似るのが正解とは限りません。
しかし、Googleの根底にある「社員を細かく管理するのではなく、自律性を引き出す」「自社のカルチャーに共感し、自ら考えて動ける人材を集める」という哲学は、規模や業種を問わず大いに参考になります。
まずは、以下のような自社に合ったステップから始めてみてはいかがでしょうか。
- 自社ならではの「〇〇らしさ」を言語化する:「Googliness」のように、スキルや経験以外の行動指針・価値観を明確にし、採用基準や評価に組み込む。
- 「心理的安全性」を意識したチームづくり:ミスを個人の責任にして責めるのではなく、仕組みの改善に目を向け、誰もが意見を言いやすい風通しの良い環境をつくる。
- ワクワクする目標を共有する:トップダウンのノルマだけでなく、OKRの考え方を取り入れ「チームが同じ方向を向いて挑戦できる目標」を設定する。
現状の育成・採用手法に行き詰まりを感じているのであれば、今回ご紹介したGoogleのエッセンスから、自社にマッチしそうな要素をぜひ一つでも取り入れてみてください。組織をアップデートする大きなきっかけになるはずです。
浅井 隆志
代表取締役
現場変革のスペシャリスト。PDCAの学校代表 浅井隆志 KDDI、スバル、SoftBank等の大手企業をはじめ、全国で精力的に講演・研修活動を展開。新聞や雑誌など数多くのメディアでも取り上げられ、全国から講演依頼が殺到。「現場で成果を出すための実践的な指導」に定評がある。