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新入社員の「離職」につながる3つの要因「GRC」とは?若手の離職を未然に防ぐ

「せっかく採用したのに、なぜすぐに辞めてしまうのか……」

新入社員がわずか3カ月で離職した場合、企業が被る損失額は1人あたり約187万5,000円にものぼると言われています。採用や育成にかけたコストが無駄になるだけでなく、現場の士気低下にも直結する早期離職。これを未然に防ぐためには、若手が発する微かな「離職サイン」をいち早く察知することが不可欠です。

本記事では、若手離職の主要因となる3つの要素「GRC(ギャップ・リレーション・キャパシティー)」を軸に、現代の新入社員が抱えるリアルな悩みと、定着率を高めるための具体的なマネジメント手法を解説します。

この記事でわかること

  • 早期離職のサインとなる「GRC」の正体
  • 入社前後の「ギャップ(G)」が生まれる背景
  • 孤独を防ぐ「リレーション(R)」の築き方
  • 適切な「キャパシティー(C)」の見極め方
  • 見落としがちな離職の予兆
目次

離職のサインとなる3つの要素「GRC」

冒頭でも触れましたが、187万5,000円。これは、エン・ジャパンの調査によって判明した、社員1人が入社後3カ月で離職した場合の損失額の概算です。せっかく時間もコストもかけて採用したのに、短い期間で人材を失ってしまうのは惜しまれます。

こういった事態を防ぐためには、彼らの「離職サイン」を見逃さないことがとても大切です。そこで重要なのが「GRC」という要素です。

GRCは、以下の3つの要素から頭文字をとって名付けられました。

  • ギャップ(Gap)
  • リレーション(Relation)
  • キャパシティー(Capacity)

以下では、それぞれの要素について詳しく見ていきましょう。

G:ギャップ

G(ギャップ)は、入社前と入社後のギャップを指します。本人が描いていた会社の雰囲気や仕事の内容と現実の間に乖離があったり、将来自分がここで成長するイメージが描けなかったりすると、ショックを受けてなかなか会社になじめなくなります。

R:リレーション

R(リレーション)は、上司との関係性です。新入社員なので、深い信頼関係というよりは、相談しやすいかどうかといったレベルの関係性が重要です。適切な支援が受けられないと孤独に陥ってしまうこともあります。

C:キャパシティー

C(キャパシティー)は、仕事の処理能力や許容量のことを意味しています。業務量が多すぎて仕事についていけず、『自分にはできないんじゃないか』と思いながら必死にこなそうとして、心身ともに疲弊してしまうことがあります。

ただし、そうしたケースは最近、減ってきています。その一方で増えているのが、働き方改革の影響で、業務量が少なすぎることで離職につながるケースです。単純な作業しか任されず、期待されていないのかと不安になり、『青い鳥症候群』に陥ってしまうようです。

青い鳥症候群とは

精神科医の清水將之が、1983年の著書『青い鳥症候群 偏差値エリートの末路』の中で提唱した概念です。現状を直視せずに「今よりもっといい仕事があるはず」「今よりもっといい人がいるはず」と理想を追い求める人たちを通俗的に「青い鳥症候群」というようになりました。主に、天職を求めて何度も転職を繰り返す、忍耐力に欠けるとされる若者を指して用いられることがあります。

このように、環境以外にも、本人の性格や考え方によっても、離職につながってしまうケースも存在します。以下の記事では、仕事をすぐに辞めてしまう傾向について解説しています。採用の段階でミスマッチを減らしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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現代だからこそのGRCの悩み

こうした3つの問題も、日々新入社員と顔を合わせていれば、普段の様子からうかがい知ることができます。

また、新入社員研修などを行うことで、現場に入る前に会社のことを知ってギャップを小さくしたり、スキルや社内人脈もできたりと、リレーションやキャパシティーの問題は和らげることが可能です。

しかし、近年はさまざまな影響で、入社後即リモートワークになったり、新入社員研修を十分に行えないまま現場に配属されたりしたケースが少なくありませんでした。

そのため、以前に比べると、新入社員のなかで「GRC」の問題が膨らんでいる可能性があります。

新人社員がどんどん辞める職場の特徴については、以下の記事でも解説しています。ぜひ本記事と合わせてご覧ください。

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GRCの事例

ここからは、実際の事例に触れつつ、新入社員が辞めていく環境について詳しく解説していきます。

ギャップ(G)に関する事例

新入社員が入社後にギャップを感じるパターンはさまざまあります。

そのなかでも、新入社員が一番感じるギャップは「仕事内容や配置について」です。

多くの企業が新卒採用において総合職採用を行っていることから、希望の「会社」には就職できても、希望の「仕事」ができるとは限りません。また、入社前に職務内容までは把握できていないという実態も見受けられます。

「仕事選び」ではなく「会社選び」が強いられる現在の採用システムにおいては、配属リスクも視野に入れた企業研究と、職種ごとの仕事内容の理解が必要となってきます。

OpenWork(旧:Vorkers)の調査では、以下のような口コミが見受けられました。

「自分から希望を出しても配属が必ずしも希望通りとなるわけではないため、もし希望通りの配属でない場合にどうモチベーションを保つかが問題。」

(開発/男性/SIer、ソフト開発、システム運用)

「希望していた部署には行けず、開発とは全くかけ離れた部署への配属となったので、妥当性うんぬんの話ではなくなった。」
(事務/男性/化学、石油、ガラス、セラミック)

「どの部署で何をしているかを事前に確認しておくべき。マッチングが大切。」

(開発/男性/総合電機、家電、AV機器)

「どこの部署に行くのか全く分からないので、それぞれの仕事内容や勤務体系を理解しておくべき。例えばコンシューマー営業になった場合、量販店・ショップの担当営業になった場合、土日・祝は基本出勤であり、世間通りの休みはない。(ちゃんと日数は休めるが)。」

(営業/男性/通信、ISP、データセンター)

「入社理由の妥当性はあったかと思う。実際に日本の根幹を支えるシステムを多く手掛けているし、そのような大規模プロジェクトをチームで推進していくことに対するやりがいは大きい。しかし、大企業である分、配属リスクも大きいことは認識しておくべきことだと思われる。」

(一般社員/男性/SIer、ソフト開発、システム運用)

出典

OpenWork(旧:Vorkers)

リレーション(R)に関する事例

離職の理由として、「人間関係」が挙げられることも少なくありません。

職場における好ましくない人間関係は、日々じわじわと新入社員にダメージを与えてしまいます。基本的に切っても切り離せないもので、日常的に関わることになるからこそ、新入社員にかかるストレスは大きいです。

特に上司と部下の関係性は大きく、両者間で円滑なコミュニケーションが図れないと、新入社員は相談もできず不安をため込んでしまうことになります。

上司と部下の関係の重要性

上司と部下の世代間ギャップは、そうしたコミュニケーション問題にも拍車をかけています。

たとえば、上司世代に多く見受けられる「見て覚える」「効率より仕事にかける時間」「叱って育てる」などの感覚は、残念ながら若い世代には通じないのです。

そういった昔ながらの感覚が強い上司は、知らず知らずのうちに、新入社員に苦手意識を植え付けます。さらには、発言がパワハラと受け取られることもあります。

しかし、こうした直接的な関わりがない場合も、人間関係に不満が生じやすいです。協力関係が築けていないなどの職場環境で人間関係が希薄すぎても、新入社員が自身の存在意義に不安を覚え、離職に至ってしまいます。

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キャパシティー(C)に関する事例

入社してから時間が経つと、新入社員のできる仕事も増え、上司や先輩は仕事を任せるようになります。任されることが増えてうれしいと感じる新入社員がいる一方で、今までの業務量よりも増えてつらいと感じる方も少なくありません。

その結果、自身の許容量を超え、キャパオーバーに陥ってしまうのです。こうした状態の前兆はいくつか挙げられます。

① 残業で仕事の帰りが急に遅くなる

月末や四半期末など、特定の時期は忙しく残業が増えるという人は少なくないでしょう。

しかし、繁忙期でもないのに急に残業が増えてきたら、仕事量が多すぎて就業時間内に終わっていない証拠です。明らかなキャパオーバーの前兆といえます。

また、残業が慢性化して、帰りが遅くなることが続くようになったら危険信号です。多忙な状態が日常化すると、そのうち精神的にも肉体的にも完全なキャパオーバーになってしまいます。

② 仕事の失敗が増えてくる

キャパオーバー気味になってくると、仕事に丁寧さが欠けてくるようになります。見直しをしたり、丁寧に処理したりという時間の余裕がなくなってくるため、つまらないミスが多くなってしまうのです。

最近、新入社員の方が間違いを指摘されることが多い、ダメ出しされることが多いなと感じるようになったら、キャパオーバーの前兆かもしれません。

まとめ:新入社員の「離職サイン」を見逃さないために

新入社員が早期離職した際の損失額「187万5,000円」という数字は、企業にとって決して無視できるものではありません。コスト面のみならず、組織の成長を阻害するこのリスクを回避するためには、今回紹介した「GRC」に基づいた早期の状況把握が鍵となります。

離職を防ぐ3つのチェックポイント「GRC」

  • G:ギャップ(Gap)
    「配属リスク」を正しく認識し、理想と現実の乖離を埋めるフォローが必要です。
  • R:リレーション(Relation)
    世代間の価値観の違いを理解し、孤独感を与えない「相談しやすい関係性」を築きましょう。
  • C:キャパシティー(Capacity)
    業務過多による疲弊だけでなく、業務の少なすぎによる「青い鳥症候群(不安感)」にも注意が必要です。

これら3つの要因は、リモートワークの普及や研修不足によって、以前よりも表面化しにくくなっています。だからこそ、「残業の急増」や「ミスの増加」といったサインを見逃さず、積極的なコミュニケーションを図ることが、最大の防衛策となります。

貴社の新入社員は、今どのような状態にあるでしょうか?まずは今日、彼らの表情や仕事ぶりに一歩踏み込んで向き合うことから始めてみてください。

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自社の課題を整理し、最適な研修・育成の方向性を明確に。 PDCAに精通したコンサルタントが、現状に合わせた具体的な選択肢をお伝えします。

浅井 隆志
著者情報

浅井 隆志

代表取締役

現場変革のスペシャリスト。PDCAの学校代表 浅井隆志 KDDI、スバル、SoftBank等の大手企業をはじめ、全国で精力的に講演・研修活動を展開。新聞や雑誌など数多くのメディアでも取り上げられ、全国から講演依頼が殺到。「現場で成果を出すための実践的な指導」に定評がある。

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