失敗しないOJT指導のポイントとは?成功企業に学ぶ人材育成術
2025.09.25

目次
OJT指導の課題と解決策
新入社員や異動者の早期戦力化を目指す企業にとって、OJT指導は欠かせない人材育成の手法です。実際の業務を通じて必要なスキルや知識を習得させるこの方法は、座学だけでは得られない実践的なノウハウを効率的に伝えることができます。
しかし、一般的に言われているように、OJT指導を実施している企業は多いものの、その効果に満足している企業は比較的少ないのが現状です。多くの企業が「指導者のスキル不足」、「育成の仕組みが確立されていない」、「業務多忙でOJTに時間を割けない」などの課題を抱えていると言われています。
失敗する主な原因
OJT指導がうまくいかない原因は主に以下の3点に集約されます。
①指導者の選定・教育の不備
ベテラン社員でも、指導スキルが不足していたり、「教える」ことへの意識が低いと効果的なOJT指導は実現しません。特に「自分が覚えたように教える」方法は、世代や学習スタイルの違いから効果が低下します。
②OJT計画の不明確さ
「現場で教えてもらいなさい」という曖昧な指示だけで、具体的な育成目標や指導内容が設定されていないケースが多く見られます。何をどこまで教えるべきかが不明確なまま、場当たり的な指導になりがちです。
③フォローアップ体制の欠如
OJT指導の進捗や効果を定期的に確認し、問題があれば軌道修正する仕組みがないと、質が保てません。指導者と育成対象者のミスマッチや指導内容の偏りが生じても、気づくのが遅れてしまいます。
成功企業の基本的な考え方

OJT指導で成果を上げている企業には、いくつかの共通点があると考えられています。人材育成の専門家たちによれば、成功企業では以下の考え方が浸透しているようです。
OJTを「計画的な育成」と位置づける
成功企業では、OJTを単なる「先輩について仕事を覚える」場ではなく、計画的かつ体系的な育成プログラムとして位置づけています。具体的な育成目標を設定し、段階的に能力を伸ばす道筋を明確にしています。
「教える側」と「教わる側」双方の成長機会と捉える
OJT指導は、新人や異動者だけでなく、指導する側にとっても重要な成長機会です。自分の知識やスキルを言語化し伝えることで、指導者自身も業務の本質を再確認し、コミュニケーション能力を高められます。
組織的なサポート体制を構築する
成功企業では、OJT指導を現場の担当者だけに任せず、人事部門や経営層も含めた組織的なサポート体制を構築しています。指導者へのトレーニング提供、定期的な進捗確認、問題発生時の相談窓口など、支援環境づくりに力を入れています。
効果的なOJT指導の実践方法

明確な育成計画の策定
OJT指導を始める前に、「いつまでに」「何を」「どのレベルまで」習得させるかを明確にした育成計画を作成します。業務を細分化し、難易度や習得の順序を考慮した段階的な目標設定が重要です。
適切な指導者の選定と育成
単に業務に精通しているだけでなく、業務の本質を理解し、コミュニケーション能力が高く、教えることに前向きな人材を指導者として選びましょう。また、選ばれた指導者には「教え方」についてのトレーニングを提供することが大切です。
「見せる→やらせる→振り返る」の学習サイクル
効果的なOJT指導では、以下の学習サイクルを繰り返すことが重要です。
✅見せる:指導者が実際の業務を見せながら、理由も含めて説明する
✅やらせる:育成対象者に実際にやらせ、徐々に難易度を上げていく
✅振り返る:実践後に良かった点と改善点をフィードバックする
業界別の取り組み事例と効果測定

製造業での取り組み:「教える側」の育成に注力
ある製造業の企業では、OJT指導者を「トレーナー」として公式に認定し、研修プログラムを充実させる取り組みが見られます。こうした企業では、新入社員の技能習得期間短縮や早期離職率減少などの効果が得られていると言われています。
ポイント:トレーナー認定制度、専用マニュアル整備、定期的な情報共有、育成実績の評価への組み込み
IT業界での取り組み:「見える化」によるOJT品質の標準化
IT業界では、OJT指導の「見える化」に取り組み、組織全体で一定水準の育成を可能にしている例があります。
ポイント:能力要件の明確化、オンライン進捗管理、定期的な三者面談、計画と実績のギャップ分析
効果測定と改善サイクル
OJT指導の効果を高めるには、定期的な効果測定と改善サイクルの確立が不可欠です。
【効果測定の指標例】
✅定量的指標:業務スピード、エラー率、生産性
✅定性的指標:業務理解度、自立度、応用力
測定結果をもとに、計画修正→実行→評価→改善のPDCAサイクルを継続的に回していきましょう。
まとめ:持続可能なOJT指導体制の構築に向けて

効果的なOJT指導は、一時的な取り組みではなく、組織文化として定着させることが重要です。
✅経営戦略としてのOJT指導の位置づけ
人材育成を通じた競争力強化のための経営戦略として位置づけ、組織全体で取り組む風土を醸成しましょう。
✅指導者へのインセンティブ設計
OJT指導の役割を担う社員に対して、適切な評価とインセンティブを設けることでモチベーションを維持・向上させましょう。
✅デジタルツールの活用
OJT指導のプロセスをデジタル化することで、効率性と透明性を高め、データに基づく効果検証を容易にしましょう。
OJT指導は、計画的に実施し継続的に改善することで、組織の持続的な成長を支える強力な仕組みとなります。「教える文化」と「学ぶ文化」が共存する組織づくりを通じて、人材育成の好循環を生み出していきましょう。
新卒社員に効果的なOJTのポイントについてはこちらの記事をご参考ください。
⇒記事:https://pdca-school.jp/column/2666
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- 失敗しないOJT指導のポイントとは?成功企業に学ぶ人材育成術
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