デザイン思考が組織を変える~イノベーションを生み出す組織戦略とは~
2025.05.26

デザイン思考の基本と組織への導入
デザイン思考とは何か
デザイン思考とは、デザイナーが問題解決に用いるアプローチを、ビジネスや組織開発に応用した思考法です。1960年代にスタンフォード大学で生まれ、その後IDEOなどのデザイン会社によって体系化されました。デザイン思考の核心は、人間中心のアプローチにあり、ユーザーの潜在的なニーズを理解し、創造的な解決策を導き出すことを目指します。
なぜ今、組織にデザイン思考が必要なのか
現代のビジネス環境は、かつてないほど複雑で変化が激しくなっています。テクノロジーの急速な進化、市場のグローバル化、消費者の期待の高まりにより、従来の問題解決アプローチでは対応しきれなくなっているのです。
組織にとって、デザイン思考は単なる問題解決ツールではありません。組織全体の思考様式を変革する手段として注目されています。従業員のエンゲージメント向上、採用プロセスの改善、組織開発など、様々な課題に対して新たな視点をもたらします。
一般的に、デザイン思考を積極的に取り入れている企業は、イノベーション創出や顧客満足度において優れた成果を上げていると言われています。
デザイン思考の5つのステップ
デザイン思考プロセスは一般的に以下の5つのステップで構成されています。
1. 共感(Empathize): ユーザーのニーズや課題を深く理解する
2. 問題定義(Define): 洞察に基づいて本質的な問題を明確化する
3. アイデア創出(Ideate): 多様な解決策のアイデアを生み出す
これらのステップは順序通りに進むだけでなく、必要に応じて行き来しながら反復的に進めることが必要です。そして、続く2つのステップが実践的なアクションに繋がります。
4. プロトタイプ(Prototype): アイデアを形にして試す
5. テスト(Test): ユーザーからのフィードバックを得て改善する
組織文化にデザイン思考を取り入れる利点
デザイン思考を組織文化に取り入れることで、以下のような利点が期待できます。
✅イノベーション文化の醸成: 従業員の創造性を引き出し、新しいアイデアが生まれやすい環境を作ります
✅顧客中心の視点の強化: 組織全体が顧客のニーズを深く理解し、価値提供を最優先する姿勢が身につきます
✅部門間の壁の低減: 多様な視点や専門性を持ったチームが協働することで、サイロ化を防ぎます
ビジネス界では、多くのグローバル企業がデザイン思考を全社的に導入し、製品開発やサービス改善に活用していると言われています。
組織のためのデザイン思考実践法
人材育成におけるデザイン思考の活用法
デザイン思考は人材育成においても強力なツールとなります。従来の一方向型の研修ではなく、参加者が主体的に考え、実践する機会を提供することで、より効果的な学びを促進します。
1. エンプロイー・エクスペリエンス(EX)の向上
デザイン思考を活用して従業員の経験を整理し、痛点を特定することで、より魅力的な職場環境を設計できます。例えば、オンボーディングプロセスを「共感」の視点から見直し、新入社員の不安や混乱を軽減するための改善を行えます。
2. 研修プログラムの刷新
従来の座学中心の研修から、デザイン思考を取り入れたワークショップ形式の研修へと転換することで、実践的なスキル習得を促進します。実際の業務課題をテーマに、デザイン思考の5ステップを体験させることで、思考法そのものを身につけさせることができます。
3. チームビルディングの強化
多様なバックグラウンドを持つメンバーが協働し、創造的な問題解決に取り組むデザイン思考のワークショップは、チームの結束力を高める効果があります。
導入時の課題と乗り越え方
デザイン思考の導入には以下のような課題が考えられますが、それぞれに対応策があります。
1. 既存の企業文化との衝突
従来の効率性や確実性を重視する企業文化では、デザイン思考の「失敗から学ぶ」姿勢が受け入れられにくいことがあります。
✅対応策: 小さな成功体験を積み重ね、具体的な成果を示すことで徐々に理解を広げていくことが効果的です。組織のリーダーからの支持を得ることも重要です。
2. 時間と資源の確保
デザイン思考のプロセスは、特に初期段階では時間がかかると感じられることがあります。
✅対応策: 小規模なパイロットプロジェクトから始め、徐々に範囲を広げていくアプローチが有効です。初期の投資が将来的なイノベーションや効率化につながることを示す指標を設定しましょう。
明日から始められるデザイン思考の取り入れ方
デザイン思考の導入は、全社的な変革だけでなく、日々の業務の中からでも始められます。
1. 会議の進め方を変える
従来の議題中心の会議から、ユーザー(社内外の顧客)の課題を中心に据えた会議へと転換します。「この問題はユーザーにとってどのような意味があるのか?」という問いかけを常に意識しましょう。
2. 「Yes, and…」の文化を育む
アイデア出しの場面では「Yes, but…(でも)」ではなく「Yes, and…(そして)」で応答する習慣をつけることで、創造的な対話が生まれます。批判よりも可能性を探る姿勢を大切にしましょう。
3. プロトタイピングの習慣化
アイデアを言葉だけでなく、簡単なスケッチや模型、ロールプレイなどで表現する習慣をつけることで、より具体的な議論が可能になります。完璧を求めず、素早く形にすることを重視します。
まとめ:デザイン思考で組織変革を実現する
デザイン思考は、単なる問題解決の手法を超えて、組織文化を根本から変革するパワフルなアプローチです。人間中心の視点で課題を捉え、多様な視点からアイデアを創出し、素早く試行錯誤を繰り返すプロセスは、VUCA時代の組織に必要不可欠な能力となっています。
組織のリーダーやメンバーは、デザイン思考を活用することで、従業員エンゲージメントの向上、イノベーション文化の醸成、部門間の壁の打破など、様々な課題の解決に取り組むことができます。導入にあたっては、小さな成功事例を積み重ね、徐々に組織全体に浸透させていくアプローチが効果的です。
明日から会議の進め方を変える、「Yes, and…」の文化を育む、プロトタイピングを習慣化するなど、できることから始めてみましょう。デザイン思考が組織にもたらす変化は、やがて企業の競争力強化と持続的な成長につながっていくでしょう。
他のビジネスの思考法についてはこちらを記事もご参考ください。
⇒記事:https://pdca-school.jp/column/3258
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