ウェルビーイングとは?意味や取り入れ方をわかりやすく解説
2025.09.02

近年、健康や幸福に関する概念として「ウェルビーイング」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、具体的にウェルビーイングとは何を意味するのでしょうか?この記事では、ウェルビーイングの基本的な概念から実践方法まで、わかりやすく解説します。
ウェルビーイングの定義
ウェルビーイングとは、単に病気や不調がない状態ではなく、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを指します。世界保健機関(WHO)は健康の定義の中で、「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と述べていますが、これはウェルビーイングの本質を表しています。
つまり、ウェルビーイングとは「良く生きる」「幸福である」という包括的な状態を意味し、単なる身体的健康を超えた概念なのです。
ウェルビーイングの5つの要素
心理学者のマーティン・セリグマンは、ウェルビーイングを構成する5つの要素(PERMA)を提唱しています。
✅ポジティブな感情(Positive Emotions): 喜び、満足感、幸福感などのポジティブな感情を感じること
✅エンゲージメント(Engagement): 活動に没頭し、フロー状態を経験すること
✅人間関係(Relationships): 良好な対人関係を築き、維持すること
✅意味・意義(Meaning): 自分より大きな何かに貢献する意義を見出すこと
✅達成(Accomplishment): 目標を設定し、それを達成すること
これらの要素がバランスよく満たされることで、総合的なウェルビーイングが実現します。セリグマンは著書「Flourish: A Visionary New Understanding of Happiness and Well-being」でこのモデルを詳しく説明しています。
企業や社会におけるウェルビーイングの重要性
現代社会において、ウェルビーイングの概念は企業経営や社会政策にも取り入れられるようになっています。企業では従業員のウェルビーイングを重視することで、以下のような効果が期待できます。
✅生産性の向上
✅離職率の低下
✅イノベーションの促進
✅組織全体の活力向上
デロイトのグローバル人的資本トレンド調査では、従業員のウェルビーイングを重視する組織文化の構築が重要な経営課題として挙げられています。
日本におけるウェルビーイングの現状
日本におけるウェルビーイングの状況は、国連の「世界幸福度報告」によると、先進国の中では比較的低い位置にあります。
長時間労働や過度なストレス、社会的孤立など、日本特有の課題がウェルビーイングの実現を難しくしている面があります。しかし、近年では「働き方改革」や「健康経営」などの取り組みを通じて、ウェルビーイングの向上を目指す動きも活発化しています。
ウェルビーイングを高める実践方法
では、具体的に日常生活でウェルビーイングを高めるにはどうすれば良いのでしょうか?ここでは、科学的に効果が確認されている実践方法をご紹介します。
日常生活に取り入れられるウェルビーイング習慣
✅定期的な運動: 世界保健機関(WHO)は、定期的な有酸素運動を推奨しています。運動は抗うつ効果があり、気分を向上させる効果があります。ウォーキングやジョギング、水泳など、自分に合った運動を取り入れましょう。
✅質の良い睡眠: 十分な睡眠は、記憶力や集中力の向上、感情の安定につながります。寝る前のリラックスタイムの確保や、規則正しい就寝・起床時間の維持が大切です。
✅バランスの取れた食事: 日本の厚生労働省が推奨する「食事バランスガイド」に基づいた食事は、身体的健康だけでなく、気分や認知機能にも良い影響を与えます。野菜、果物、良質なタンパク質をバランスよく摂取しましょう。
✅社会的つながり: ハーバード大学の長期研究によれば、強い社会的つながりが健康と幸福の重要な予測因子となります。家族や友人との交流を大切にし、コミュニティ活動に参加するなど、人とのつながりを意識的に作りましょう。
マインドフルネスとウェルビーイングの関係
マインドフルネスは、今この瞬間に意識を向け、価値判断せずに受け入れる心の状態を指します。この実践はウェルビーイングの向上に大きく貢献することが科学的に証明されています。
マインドフルネスベースのストレス低減法(MBSR)は、ストレスや不安、うつ症状の軽減に効果的であることが示されています。
毎日少しの時間でも良いので、静かに座り、呼吸に意識を向ける瞑想を取り入れてみましょう。始めは3分程度から徐々に時間を延ばしていくことをおすすめします。
職場でのウェルビーイング向上策
職場は私たちが多くの時間を過ごす場所です。以下のような取り組みが職場でのウェルビーイング向上に役立ちます。
✅適切な休憩: ポモドーロ・テクニック(一定時間の集中作業と短い休憩を繰り返す方法)などの時間管理法は、生産性と創造性の向上に効果的です。
✅ワークライフバランス: 「働き方改革関連法」は、長時間労働の是正や年次有給休暇の確実な取得を促進しています。プライベートと仕事の境界を明確にし、オンとオフの切り替えを意識することが大切です。
✅職場の人間関係: 経済協力開発機構(OECD)の報告によれば、良好な職場関係は従業員の満足度と生産性に大きく影響します。チームでのコミュニケーションを大切にし、互いにサポートし合う文化を育みましょう。
✅目標設定: 心理学で「SMARTの法則」と呼ばれる、具体的で測定可能、達成可能、関連性があり、期限のある目標設定は、モチベーションと達成感を高めます。長期目標と短期目標をバランスよく設定することがコツです。
ウェルビーイングを測定する方法
自分のウェルビーイングレベルを知ることは、改善のための第一歩となります。以下のような方法で測定できます。
✅PERMA尺度: セリグマンのウェルビーイングモデルに基づいた質問票で、ポジティブ心理学の研究機関で公開されています。
✅WHO-5幸福度指標: 世界保健機関が開発した、精神的健康状態を測定するための簡単な質問票です。
✅生活満足度尺度(SWLS): エド・ディーナー博士によって開発された、生活全般についての満足度を測る質問票です。
これらの尺度は、オンラインで無料で利用できるものもあります。定期的に自己評価することで、自分のウェルビーイングの変化を追跡することができます。
ウェルビーイングを高めて、より豊かな人生を
ウェルビーイングは、単なる健康状態を超えた、身体的・精神的・社会的に充実した状態を指す包括的な概念です。ポジティブな感情、エンゲージメント、良好な人間関係、人生の意味、そして達成感という5つの要素からなるこの概念は、現代社会においてますます重要視されています。
日本では、まだウェルビーイングの取り組みは発展途上ですが、企業や個人レベルでの意識は確実に高まっています。日常生活では、定期的な運動、質の良い睡眠、バランスの取れた食事、そして社会的つながりを大切にすることで、ウェルビーイングを高めることができます。また、マインドフルネスの実践や、職場での適切な休憩、ワークライフバランスの確保も効果的です。
自分のウェルビーイング状態を定期的に測定し、必要に応じて生活習慣を見直すことで、より充実した、幸福感あふれる人生を送ることができるでしょう。ウェルビーイングは一朝一夕で達成できるものではありませんが、小さな一歩から始めることで、確実に人生の質を向上させることができます。
職場環境をより良くしていきたい方はこちらもご参考ください。
⇒記事:https://pdca-school.jp/column/2909
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- ウェルビーイングとは?意味や取り入れ方をわかりやすく解説
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