企業向け研修サービスPDCAの学校
コラム
組織づくり・組織開発

三国志とキングダム世代マネジメント

キングダムというマンガをご存じでしょうか。

紀元前の中国を舞台にした戦国時代のお話です。週刊ヤングジャンプにて2006年から連載が始まり、なんと累計1億2,000万部の大ヒット作品です。2019年には映画化されて、こちらも人気で4作品が上映されています。(2026年4月時点)

社内の若手は口を揃えて「キングダム最高」との声が非常に多いです。LINEリサーチによると特に10代から30代に人気のようで、戦国ものでは珍しく、女性からも高い支持を集めています。

筆者の浅井は本年で47歳。いわゆる「三国志世代」にあたります。三国志は1971年から1987年にかけて連載された横山光輝の漫画が有名です。赤壁の戦いという戦争をテーマにした「レッドクリフ」という映画も人気を博しました。

弊社の若手社員から「キングダム最高なのでぜひ社長も読んでください」と熱烈に推薦されましたので、読破いたしました。

しかし「三国志と比べたら足元にも及ばない」──これが率直な感想でした。

マネジメント層である三国志世代(40-60歳)と、マネジメント対象者(15-35歳)であるキングダム世代。どこに価値観のギャップがあるのでしょうか。

この若手から支持されるキングダムを読み解くことで、若手社員のニーズを深掘りできるのではと考えて、本日は筆をとりました。わかりやすくするために浅井なりの表現や解釈を用いること、また両作品は漫画であることから、史実と異なる点はご容赦ください。

目次

三国志のあらすじ

まずは、三国志のあらすじについて簡単に解説します。

三国志の超ざっくり要約

三国志は、2世紀末の中国で衰退した後漢王朝を舞台に、英雄たちが天下を争う壮大な群像劇です。

物語は「黄巾の乱」から幕を開け、仁徳の劉備玄徳(りゅうびげんとく)、乱世の奸雄・曹操(そうそう)、若き虎・孫権(そんけん)らを中心に展開します。軍師・諸葛孔明(しょかつこうめい)の知略や武将たちの熱い絆など、ドラマチックな演出が特徴です。

最大の山場「赤壁の戦い」を経て、大陸は「魏・呉・蜀」の三つに分かれますが、激闘の末、最終的には新たな勢力「晋」が天下を統一します。「分ければ必ず合い、合えば必ず分かれる」という歴史の理を描いた、ロマン溢れるエンターテインメントの決定版といえるでしょう。

主人公 劉備玄徳がなぜ立ち上がったのか

三国志(特に演義と呼ばれる脚色されたストーリー)では、農村出身で母想いの優しい青年 劉備玄徳が主人公です。後に蜀という国の皇帝になります。

時代は西暦180年。当時の中国は、大規模な飢饉や略奪を働く山賊、堕落した政治家によって混乱の只中にありました。そこで宗教の教祖が立ち上がり、当時の朝廷である後漢を倒そうと反乱を起こしました。それが黄巾の乱です。反乱者は黄色の頭巾をしていたことから、そのように名づけられました。しかし、彼らのやっていることは山賊などと全く変わらず、民たちは略奪、虐殺されていました。

それを見かねた劉備は関羽(かんう)、張飛(ちょうひ)と義兄弟の契りを交わし、義勇軍を結成して黄巾賊を倒すため立ち上がります。

この契りは「桃園の誓い」といわれ「生まれは違えど死ぬときは一緒」という言葉で盃をかわしました。一蓮托生のあり方が描かれています。

偉人とされている名軍師の孔明(こうめい)

劉備は名軍師である諸葛亮孔明(しょかつりょうこうめい)を迎えるにあたって、三度訪ねました。一般的に目上であれば呼びつけるところですが、謙虚に、丁重に、そして誠実に足しげく通い、頭を下げたのです。

そして、その誠実さに心を打たれ、孔明は劉備の家来になりました。後に孔明は、中国統一は難しく、三国に分けて平定するべしと提言し、孔明の言う通り三国でバランスが取れました。三国志の立役者であり、今でも偉人・賢人として名をはせています。

この三度訪れた「三顧の礼」は故事にもなっています。目上の人が格下の者のもとに三度も出向いてお願いをすることを意味しています。謙虚さや誠実さのエピソードといえるでしょう。

関羽という神格化された武将

関羽は、人並み外れた武勇や義理を重んじたことで有名です。今では神格化されて、中華街などに行くと関羽の像が知られています。

関羽の特徴的なエピソードとしては、やはり忠義のお話です。

関羽は、当時の敵国からも賞賛される武将でした。しかし、争いのさなかで自分の上司(君主)である劉備の妻子を守るために、敵国に捕らわれてしまいます。それでも、敵国である魏の曹操はどうしても関羽を自分の家来にしたかった。そのため、関羽を丁重に丁重にもてなしましたが、最後まで関羽は「君主の妻子を連れて帰ること」と「自分の主は劉備玄徳である」ということを譲りませんでした。

現代的に訳せば「どんなに好待遇のヘッドハンティングを受けても、自分の会社を裏切らず、自己犠牲によって会社のことを一番に考える」と受け取れます。

子どもより武将を大切にした劉備

あるとき、ライバル国である魏に攻められ、蜀は民衆の大半が曹軍に飲み込まれました。この中には、劉備の妻と嫡男の阿斗(あと)も含まれていました。趙雲という武将はこのことに気づくと、馬首を反転し、圧倒的勢力である曹軍の真っ只中に引き返します。

農家の井戸のそばに傷ついた夫人と夫人に守られた無傷の阿斗を見つけます。二人を救出したい趙雲でしたが、足手まといになることを恐れた夫人は、井戸に身を投げます。趙雲は、衝撃に打ちのめされながらも阿斗を胸に抱くと、再び馬に飛び乗り、劉備軍を目指して包囲網を切り抜けました。

無事に劉備に阿斗を渡したときに、劉備は阿斗を投げ捨てました。驚いた趙雲に劉備は言います「兄弟は手足の如く妻子は衣服の如し」。訳すとすれば「家族は取り替えが利くが、あなたは代わりの利かない存在だ」です。

自分の子どものために命を投げ出す家来は、自分の子どもより尊い存在であるということです。

泣いて馬謖を斬る

蜀の武将の馬謖(ばしょく)が、軍師(諸葛亮孔明)の指示に背いて敗戦を招きました。この責任をとり馬謖は処刑されてしまいます。

愛弟子の馬謖の処刑に踏み切り、諸葛亮は涙を流しました。この報を聞いた周囲の将たちも「そこまでしなくてもよかったのでは」と涙を流しました。「馬謖ほどの有能な将を」と彼を惜しみ反対する意見が多数ありましたが、諸葛亮は「軍律の遵守が最優先」と再び涙を流しながら答えたというエピソードがあります。

現代でも有能であってもルールを逸脱した社員を解雇する際に「泣いて〇〇を斬る」という表現が用いられます。個人より全体が重要であることが描かれています。

三国志まとめ

自己犠牲をいとわない忠誠心。個人主義ではなく全体主義。

キングダムのあらすじ

続いて、キングダムのあらすじを解説します。三国志との違いにも注目しながら、ストーリーを見ていきましょう。

キングダムの超ざっくり要約

三国志は君主(トップ)が主人公ですが、キングダムの主人公は家来の武将です。貧しい生まれの信(しん)という少年が、いつかは大将軍になることを夢見て、戦国で活躍するサクセスストーリーです。

時代は三国志より400年ほど昔の紀元前300年。古代中国の春秋戦国時代末期における、戦国七雄といわれた7つの国の争乱が背景になっています。第31代秦王である嬴政(えいせい)は、のちに中華統一を実現し、始皇帝となります。中華統一までのプロセスが本作品です(2026年4月現在も連載中)。

戦争孤児であった信は大将軍を目指す

物語の始まりは、戦火で親を亡くした少年・信と、その親友・漂(ひょう)の過酷な日常にあります。二人の夢は、武功を立てて「天下の大将軍」になること。

そんなある日、漂は王宮へと召抱えられます。理由は、若き王・嬴政(えいせい)に瓜二つだったから。しかし、それは権力争いの身代わり、すなわち「影武者」としての過酷な運命の始まりでした。

王(嬴政)が権力争いで抹殺されるところを助ける

激しいクーデターに巻き込まれ、漂は命を落とします。親友から夢を託された信は、刺客の手を逃れた王・嬴政と出会います。

弟による反乱軍を打ち破るため、二人はかつて秦に裏切られ、深い溝ができていた「山の民」のもとへ向かいます。嬴政は王としての覚悟と理想を語り、閉ざされた彼らの心を動かして最強の援軍を得ることに成功。圧倒的な数的不利を覆し、見事に王座を奪還したのでした。

敵が味方になる

戦いの中で、信はかつて自分を狙った凄腕の刺客・羌瘣(きょうかい)と出会います。孤独に生きてきた彼女の心は、信の真っ直ぐな情熱によって次第に解きほぐされ、やがて彼女は信の右腕として欠かせない存在へと成長していきます。

一方で、軍才のない自分に葛藤していた軍師志望の河了貂(かりょうてん)は、信を支える力を得るために軍略を学ぶ旅へ。信自身もまた、伝説の「秦の六大将軍」王騎(おうき)に師事し、戦場の現実と将軍の重みを魂に刻み込んでいきます。

敵国六国がまとまって秦を滅ぼそうとする

物語の最大の山場は、敵国六国が連合して秦を滅ぼそうとする「合従軍」の侵攻です。

滅亡の危機に瀕し、最後の砦となった「蕞(さい)」には、戦える正規軍は残っていませんでした。しかし、王である嬴政自らが前線に立ち、絶望に震える民たちの魂を鼓舞。さらに窮地を救ったのは、かつて絆を結んだ「山の民」でした。国境を越え、身分を超えた「一致団結の美しさ」が、秦に奇跡の勝利をもたらしたのです。

以下、強い敵が現れても仲間に助けられて倒すがリピートするために、略。

「おい!浅井!キングダムはもっと語れるだろう!あのシーンがないじゃないか」というお叱りの声が聞こえます。すみません。三国志世代の浅井にはキングダムを魅力的に伝えるのが難しい……

キングダムまとめ

とにかく仲間。キングダムでは、いわゆる「家来」という枠組みを超えた絆が強調されています。王と家来の関係性である嬴政と信は友達のように描かれているように思いました。そして戦いの強さは、それぞれが背負っている仲間の想いに比例すると定義しています。

三国志とキングダムの違い

ここからは、三国志とキングダムの違いについて考えてみます。ざっくりとまとめると、このような違いがあるのではないでしょうか。

三国志は主従の美しさ。キングダムは仲間の絆。

以下では、現代の企業に例えながら、さらに深掘りしていきましょう。

企業文化に置き換えると

三国志的な企業

  • 会社が絶対であり、上司が絶対。
  • 自己犠牲を美徳とする。
  • だから社員は、サービス残業を美徳とする。
  • 会社は忠義を尽くす社員を絶対に裏切らない。

よって終身雇用を前提としています。

キングダム的な企業

  • 上下ではなくチーム。
  • 仲間からの信頼が最も重要。
  • 共に成長することが喜び。
  • 正義があれば、上にものを申すのを是としている。

よってナレッジ共有、ビジョンを共有する組織を目指します。

さて、だいぶ極端に、またアンバランスに語りましたが、若手がなぜキングダムを大好きなのか少しは理解が深まったかと思います。

キングダム方式で組織運営するなら、個人成果ではなくチーム成果で評価をする。相互理解を深められるようなコミュニケーション施策に取り組む。このあたりが若手のニーズを満たすことになるでしょう。

今回はあくまでも参考程度にしてください。

以下の記事では、幅広い世代に愛される『鬼滅の刃』について、経営者の視点からメスを入れています。この記事を読んで、気に入ってくださった方は、ぜひこちらもご覧ください。

関連記事

『鬼滅の刃』から学ぶ 「ハンパない習慣」と「着手主義」とは

三国志とキングダム世代マネジメントのあとがき(くだらないです)

秦の始皇帝は、中国でバラバラだった長さや重さなどあらゆるものの規格を統一した初めての皇帝でした。皇帝という呼称も秦の始皇帝が作りました。それまでは王が一般的です。王は人のトップ。さらに王の上になろうとして、皇帝という言葉を作りましたが、皇帝とは、神にも等しい絶対的な統治者を意味する言葉です。

しかし、秦は2代で滅びます。その際にできた言葉が「馬鹿」「阿呆」。始皇帝が病で亡くなり、側近がその権力を握るためのある行動をとりました。鹿を連れてきて「これは馬だ」と断言しました。それに異を唱えた人間をつぎつぎ斬ったという話があります。そのため、ばかげている話として「馬鹿」が生まれました。

そんな馬鹿なことを繰り返していたので、ついには秦が滅亡します。その時に焼かれた大建築物が阿房宮(あぼうきゅう)。これが「阿呆」の由来になったという説があります。

有名な四字熟語

秦が倒れて、項羽と劉邦の時代になります。項羽は楚の国の将軍。劉邦は農民から立ち上がったヒーローです。最終的に劉邦は項羽を追い詰めて、漢王朝を興します。

項羽を追い詰めたときに、項羽の四面から楚の歌が聞こえて、項羽は諦めたといわれています。自分を取り囲む敵から自分の国の歌が聞こえるということは、すでに敵に取りこまれて、詰んでいると思ったのでしょう。これが「四面楚歌」です。漢が興隆しましたがやがて衰え、そして三国志の時代に移ります。

ちなみに、清の最後の皇帝、映画「ラストエンペラー」も面白いですよね!

まずはご相談ください

自社の課題を整理し、最適な研修・育成の方向性を明確に。 PDCAに精通したコンサルタントが、現状に合わせた具体的な選択肢をお伝えします。

浅井 隆志
著者情報

浅井 隆志

代表取締役

現場変革のスペシャリスト。PDCAの学校代表 浅井隆志 KDDI、スバル、SoftBank等の大手企業をはじめ、全国で精力的に講演・研修活動を展開。新聞や雑誌など数多くのメディアでも取り上げられ、全国から講演依頼が殺到。「現場で成果を出すための実践的な指導」に定評がある。

コラム一覧に戻る

関連記事

お役立ち資料をダウンロードする