内定辞退防止マニュアル:実践的フォロー施策と導入事例
2025.07.24

内定辞退の現状理解と原因分析
内定辞退の現状と企業への影響
採用活動に多大なリソースを投入したにもかかわらず、内定者から「辞退します」という連絡を受けることは、人事担当者にとって大きな痛手です。そのため、内定辞退防止は採用担当者の重要課題となっています。リクルートの「就職白書2020」によると、新卒採用における内定辞退率は約47%に達しています。これは内定を出し人数の半数近くが辞退しているという深刻な状況を示しています。
内定辞退は単なる人材の損失だけでなく、企業にとって次のような影響をもたらします:
– 採用コストの増加: リクルートの「就職白書2020」によると、一人の採用にかかるコストは新卒で平均93.6万円と報告されています。内定辞退はこの投資を無駄にします。
– 採用スケジュールの遅延: 内定辞退による欠員を埋めるための再募集は、入社時期の遅れや人員計画の狂いにつながります。
– 企業ブランドへの悪影響: 内定辞退率が高い企業は、就活生コミュニティでの評判が下がる可能性があります。
内定辞退が起こる主な原因
では、内定辞退の主な原因は何でしょうか。以下の通りです:
1. 競合他社からのより良い条件
多くの優秀な学生は複数の内定を獲得します。より魅力的な条件を提示された場合、内定辞退につながりやすくなります。
2. 入社前コミュニケーションの不足
内定から入社までの期間、企業からの接触が少ないと、内定者は不安を感じたり、企業への帰属意識が薄れたりします。
3. 企業文化とのミスマッチ
選考過程で企業文化や実際の職場環境について十分な情報提供がなされていないと、内定後に「自分に合わない」と感じて辞退するケースがあります。
4. 入社後のキャリアパスの不透明さ
自身の成長やキャリア展望が見えないと、内定者は不安を感じます。特に、成長志向の強い学生ほど、明確なキャリアパスを求める傾向があります。
効果的な内定辞退防止策と企業の取り組み
内定者フォローの強化策
内定辞退を防止するためには、内定から入社までの期間における継続的なフォローが不可欠です:
1. 定期的なコミュニケーションプログラムの構築
– 月1回以上の連絡(メール、電話、対面など)
– 内定者ポータルサイトやSNSグループの活用
– 配属予定部署の上司や先輩社員からの接触
定期的なコミュニケーションは内定者の不安を軽減し帰属意識を高め、内定辞退防止に大きな効果があります。
2. 内定者同士の交流機会の創出
– 内定者懇親会やオンラインイベントの開催
– グループワークや課題解決型プロジェクトの実施
このような取り組みの結果、同期入社予定の仲間との絆が形成されます。すると、「一緒に働きたい」という意識が芽生え、内定辞退を思いとどまるケースが増えます。
入社前教育・研修の充実
また、入社前から企業への理解を深め、帰属意識を高めることも効果的です:
1. オンボーディングプログラムの前倒し実施
– 業界や企業知識に関するeラーニングの提供
– 入社後の業務をイメージできる課題の提供
このように、内定者の「準備不安」を軽減することで、入社への期待感を高められます。
2. 企業文化や価値観の共有強化
– 経営者からのメッセージ動画やライブセッション
– 社員インタビューや働き方紹介のニュースレター
企業文化や価値観に関する理解不足は、内定辞退の主な理由の一つです。そのため、入社前からこれらを十分に伝えることが大切です。こうした取り組みにより、ミスマッチによる辞退を減らせるのです。
企業の内定辞退防止への取り組み事例
サイバーエージェントでは、内定者向けスタートダッシュ応援プログラム「DASH」を実施しています。このプログラムでは「ナナメン制度」を導入し、若手社員がメンターとなって1on1でサポートを提供。内定者の不安解消と企業文化理解を促進しています。また、長期・短期のアルバイトを通じた実務体験の機会も提供し、具体的な業務への期待感を醸成。「DASH」プログラムは、個別対応を重視した内定者サポートにより、内定辞退防止と早期活躍を目指しています。
一方、KDDIでは、内定者フォロー施策として「内定者期間」を設け、入社までの約10か月間にわたり多様なサポートを提供しています。具体的には、内定者同士の交流を深める内々定式や内定式を開催しています。また、オンライン事業所紹介や懇親会を通じ、働く環境や企業文化への理解を促進しています。それに加え、社員訪問や業務内容説明会を通じて希望部署や業務を直接話し合う機会を提供。そして、入社前面談や健康診断・セミナーを実施し、不安を解消しながら入社準備を支援。これらを通じ、企業理解を深め、帰属意識向上を図っています。
実践のためのステップ
それでは、内定辞退防止策を効果的に実施するためのステップを見ていきましょう:
1. 短期的に実施できる施策(1〜2ヶ月以内)
– 内定者データベースの整備と定期的なコンタクトスケジュールの策定
– 内定者向けニュースレターの発行開始
2. 中長期的に取り組むべき施策(3〜6ヶ月)
– 体系的な内定者フォロープログラムの構築
– 入社前研修カリキュラムの開発
なお、これらの施策を実施する際は、内定者一人ひとりの不安や期待を理解した上で、パーソナライズされたアプローチを心がけることが重要です。
まとめ
内定辞退は企業に多くの問題をもたらします。しかし、その防止には効果的な方法があります。定期的なコミュニケーション、内定者同士の交流機会の創出、オンボーディングプログラムの前倒し実施などが効果的です。特に企業の事例から見えてくるのは、個別対応の重要性です。パーソナライズされたアプローチが成功の鍵なのです。
つまり、内定辞退防止は、単なる「辞められない対策」ではありません。「この会社で働きたい」と思ってもらうための総合的な取り組みなのです。内定者と企業の相互理解を深め、入社前から信頼関係を構築するで、内定辞退防止に繋がります、そして、優秀な人材確保の鍵となるのです。
【2025年版】新卒採用フローについてはこちらをご参考ください。
⇒記事:https://pdca-school.jp/column/12545
- 株式会社PDCAの学校/
- コラム /
- 内定辞退防止マニュアル:実践的フォロー施策と導入事例
無料で学べる全4章
Eラーニング「新入社員研修」
ビジネスマナーとホウレンソウなど、ビジネスに必要な知識習得とケーススタディによるスキル習得ができる
- 第一章
- 超実践!ビジネスマナー
- 第二章
- 業務効率向上!ホウレンソウ(報連相)
- 第三章
- 絶対関係構築!コミュニケーション
- 第四章
- クレームをファンに変える!顧客対応
-
CONTACT研修のご相談はこちら
設立以来15年間で延べ
5000社以上110,155名の支援実績 -
RECRUIT採用情報
一人一人の価値を圧倒的に高める
「働きがいを生きがいへ」