リーダー育成を加速させる5つの戦略
2025.07.07

人材不足時代におけるリーダー育成の重要性
少子高齢化による労働人口の減少や、急速なデジタル化による事業環境の変化など、企業を取り巻く状況は厳しさを増しています。このような時代において、組織の成長と存続を左右するのが「リーダー育成」です。日本能率協会の調査によると、日本企業の30.3%が「次世代リーダーの不足」を経営課題として挙げており、リーダー育成は単なる研修ではなく、企業の存続と成長に直結する戦略的な取り組みと位置づけるべきでしょう。
効果的なリーダー育成がもたらす効果
組織パフォーマンスの向上と離職率の低下
優れたリーダーが存在する組織では、明確なビジョンと方向性が示されることでメンバーの意欲が高まり、組織全体の生産性が向上します。また、質の高いリーダーシップは従業員のエンゲージメントを高め、それが業績向上につながります。
さらに、リーダーの質は従業員の定着率にも大きく影響します。株式会社アシロの調査では、66.7%が上司を理由に退職を考えた経験があり、実際に4割弱が退職したという結果が出ています。人材獲得コストが年々上昇する中、リーダー育成は採用コスト削減や組織知の維持にも貢献します。
イノベーションの促進
リーダー育成のもう一つの重要な効果は、組織のイノベーション力の向上です。効果的なリーダー育成プログラムは、管理能力だけでなく、創造性や戦略的思考力、変革を推進する力を養うことで、組織の革新的な文化の醸成に貢献します。
先進的なリーダーは、チームメンバーが新しいアイデアを提案しやすい心理的安全性の高い環境を作り出します。また、失敗を学びの機会と捉える文化を育て、適度なリスクテイクを奨励することで、組織全体のイノベーション力を高めます。特にVUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代において、従来の成功体験にとらわれず、新たな視点で課題に取り組めるリーダーの存在は、企業の競争優位性を決定づける重要な要素となっています。
リーダー育成を加速させる5つの戦略
戦略1:経験学習を中心としたOJT
リーダーシップ開発において最も効果的なのは、実際の業務経験を通じた学習です。「70:20:10の法則」によれば、人の成長の70%は業務経験から得られるとされています。効果的なOJTのポイントは、チャレンジングな任務付与、振り返りの機会の設定、段階的な権限委譲です。通常業務より少し難度の高いプロジェクトを任せ、定期的なフィードバックで学びを深め、徐々に意思決定の範囲を広げることで自律性を高めます。
戦略2:メンタリングとコーチングプログラム
経験豊富なリーダーから若手リーダー候補への知識・経験の伝承は、リーダー育成の重要な要素です。効果的なメンタリングプログラムには、明確な目的と期間の設定、相性を考慮したマッチング、定期的な対話の場の確保が重要です。
ユニリーバでは「リバース・メンタリング」を導入し、若手社員が経営層に経営への提言や「どういうリーダーを求めているか」を伝える機会を設けています。これにより、組織の階層を超えた双方向の学びが促進されています。
戦略3:多様な視点を育むジョブローテーション
ジョブローテーションは、将来のリーダーに多角的な視点と幅広い組織理解を身につけさせる効果的な手法です。複数の部門を経験することで、組織全体を見渡す視点を持ち、部門間の連携を促進できるようになります。効果的なジョブローテーションの設計には、育成目的を明確にした計画設計、適切な期間設定(通常2〜3年)、新たな役割への適応をサポートする体制の構築が重要です。
戦略4:リーダーシップコンピテンシーの明確化と評価
効果的なリーダー育成のためには、組織が求めるリーダー像を明確にし、評価基準を設定することが重要です。効果的なコンピテンシーモデル構築のポイントは、将来必要とされるスキルも含めた設計、観察可能な行動としての具体化、360度評価などを活用した多面的な評価の実施です。
戦略5:デジタルツールを活用した継続的な学習環境
テクノロジーの進化により、リーダー育成においてもデジタルツールの活用が不可欠となっています。効果的なデジタル学習環境の構築には、マイクロラーニングの導入、オンラインでの知識共有や協働学習の促進、データ分析による個別化が有効です。短時間で学べるコンテンツの提供や、個人の強みや弱みに合わせた学習プランの提案により、多忙なリーダー候補の学習効率が向上します。
成功事例:ソニーグループのリーダー育成
ソニーグループでは「Sony University」を設立し、次世代の経営幹部候補育成プログラムを実施しています。グローバルな視点を持つリーダーシップの開発に重点を置き、実際のビジネス課題に取り組むプロジェクト型学習と経営層とのメンタリングセッションを組み合わせ、理論と実践を融合した人材育成を行っています。
まとめ
人材不足時代において、組織の持続的成長には計画的かつ戦略的なリーダー育成が不可欠です。本記事で紹介した5つの戦略は、規模や業種を問わず応用可能なアプローチです。重要なのは、リーダー育成を経営戦略の一部として位置づけ、経営層が主体的に関与すること。形式的な研修プログラムよりも、実践的な経験と振り返りの機会を提供することが、真のリーダーを育てる鍵となります。組織の未来を左右するリーダー育成に、今こそ戦略的に取り組む時なのではないでしょうか。
管理職の役割についてはこちらをご参考ください。
⇒記事:https://pdca-school.jp/column/9798
- 株式会社PDCAの学校/
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- リーダー育成を加速させる5つの戦略
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