キャリアアンカー理論を活用した離職率激減のメソッド
2025.05.09

キャリアアンカーの基礎知識
キャリアアンカーとは何か
キャリアアンカーとは、MITのエドガー・シャイン教授が提唱した概念で、「個人が絶対に妥協したくない価値観や欲求」のことです。船が錨によって定位置に保たれるように、人は自分の内的価値観によって特定の職業選択に引き寄せられます。
多くの場合、人は自分の価値観を明確に意識していません。しかし、転職や配置転換を考える際、この内的な軸が大きく影響し、これに反する選択をすると不満や離職につながりやすくなります。一般的に、個人の価値観と職務内容の不一致が早期離職の主要因の一つと考えられています。
人事担当者や経営者がこの概念を理解し活用することで、採用段階でのミスマッチ防止から、適切な配置、効果的な育成に至るまで、一貫した人材マネジメントが可能になります。
8つのタイプ
シャイン教授によると、キャリアアンカーは図の8つに分類されます。
これらの特徴を理解することで、社員が最も活躍できる環境や役割の洞察が得られます。
企業経営における活用メリット
人事施策に活用することで、以下のようなメリットが期待できます。
✅採用ミスマッチの防止: 候補者の価値観と職務の適合性を事前に考慮
✅エンゲージメント向上: 内的動機に合った役割提供で仕事への熱意を高める
✅人材育成の効率化: 個人の価値観に合った育成プランの設計
✅リーダー育成: 将来のリーダーとして適切な人材の見極め
人材定着率との関連性
キャリアアンカー診断を人事施策に活用することで、社員の定着率向上に効果が見られることが多くの企業で報告されています。個人の価値観と職務内容の一致度が高い組織ほど、離職率が低いという傾向があります。
特に若手社員は、給与や福利厚生だけでなく、自分の価値観や志向性に合った仕事環境を重視する傾向があります。入社後早い段階で価値観診断を実施し、適切な配属や育成計画を立てることで、早期離職防止に効果を発揮します。
診断の実践と活用法
診断方法
一般的なのは「キャリア・オリエンテーション調査票」で、40項目程度の質問から回答者の価値観を明らかにします。実施方法には以下があります。
✅外部機関による診断: 専門家による診断・分析
✅ 社内での実施: 人事部門主導の診断
✅オンラインツール: 簡易版の診断
信頼性の高い結果を得るには、事前に目的や活用方法について従業員の理解を得ることが大切です。
診断結果の活用ポイント
✅個別フィードバック: 自己理解を深める機会の提供
✅人材配置への反映: 適材適所の配置検討
✅キャリア開発計画: 内的動機に沿った育成計画の立案
✅組織分析: 部門ごとの傾向分析
診断結果は「ラベル付け」ではなく、対話のきっかけとして活用することが重要です。結果をもとに上司と部下、あるいは人事部と従業員との間でキャリア志向についての対話を促進することで効果が高まります。
実施する際の注意点
✅目的の明確化: 活用方法を明確にする
✅プライバシーの配慮: 個人情報の取り扱いに注意
✅強制的評価の回避: 自己理解のためのものと伝える
✅継続的な取り組み: 定期的に実施し変化を捉える
キャリアアンカーは時間とともに変化する可能性もあるため、特に若手社員には定期的な再診断が有効です。
まとめ:組織成長のために
キャリアアンカーは単なる人事用語ではなく、従業員の内的動機を理解し、組織と個人の双方が成長するための重要な概念です。活用により、離職率の低減、パフォーマンス向上、エンゲージメント向上、人材ポートフォリオ最適化が期待できます。
人材獲得競争が激化する現代のビジネス環境において、一人ひとりの内的価値観を理解し、適切な環境を提供することは、持続的な組織成長のカギとなります。ぜひ、貴社の人事施策にキャリアアンカーの視点を取り入れてください。
新入社員の離職予防方法についてはこちらをご参考ください。
⇒記事:https://pdca-school.jp/column/9383
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