教えるべきか任せるべきかの分かれ道
2022.09.05マネジメント
仕事は教えるべきか?任せるべきか?
仕事を任せることで自主性を育み成長を促進させるという考えと、徹底した管理と指導をすることで成長を促進させるという考えがあります。さて、どちらが正解でしょうか。まずは現場指導のポイントを解説しながら考察していきます。
目次
1.状況別でみる指導の方向性
A)モチベーションはあるが、スキルがない社員
B)スキルはあるが、モチベーションが低い社員
C)モチベーションもスキルも高い社員
2.任せるべきか?の結論
3.指導の目的
4.指導の種類ー計画的指導
5.指導の種類ー機会指導
6.まとめ
1.状況別でみる指導の方向性
A)モチベーションはあるが、スキルがない社員
スキルがない社員には仕事を任せられません。仕事の能力を高めるためには定期的かつ継続的な教育指導が必要です。スキルが足らない社員には主に、ティーチングやモデリングが重点施策となります。ティーチングとはteacher、すなわち先生・教師役となって教えることです。特に新入社員や若手社員を早期の戦力化のためには、インプットをメインにした教育指導が重要です。
モデリングとは先輩社員や上司の行動を模倣させます。模倣させた行動に対して評価やフィードバックをし、スキルアップ向上を狙います。「やって見せ、言って聞かせて、させてみせ」という山本五十六の有名な言葉がこのモデリングに該当します。
B)スキルはあるが、モチベーションが低い社員
メンタルケアはいまや管理職、会社側が担う必要があります。大手では産業カウンセラーなどの制度が導入されることもありますが、中小企業では先輩や上司がその役割を担います。指導する側(メンター)に対して指導される側(メンティー)は必ずしも上下関係ではなくても効果を期待できます。
場合によっては直属の上司だと話しにくいということで、他部署の先輩や人事が担当する場合もあります。面談においても目標達成やスキルアップを目的とせず、カウンセリングを目的とするのも効果的です。
C)モチベーションもスキルも高い社員
インプットもメンタルケアも必要のない社員はまれです。だからといって仕事を全面的に任せていいわけではありません。さらに能力を向上させるためには内省が必要となります。内省とは自問自答すること。自ら考えて動けるようになる源泉でもあります。この社員に向けてはコーチングが有効です。
コーチングとは質問を投げかけることで、内省を促す指導方法の一つです。上司は常に部下のさらなる能力向上のために問いかける必要があります。コーチングはモチベーションがあってスキルがある社員に有効であって、モチベーション不足、スキル不足の社員には効果がないどころか逆効果になるので注意が必要です。引き出しの無い社員に考えさせるのは時間の無駄ですし、上司の質問がストレスになるかもしれません。
2.任せるべきか?の結論
さて、社員の状況や能力によってその時々に必要な指導が変わることをご理解いただけたと思います。いずれも部下に全てを任せることはありません。部下に任せるというのは聞こえは良いですが、ただの管理放棄です。若手と比べれば中堅社員への管理は薄くなるとは思いますが、それでも報連相やコミュニケーション、軌道修正は上司の役割です。
責任あるポジションによって人は育ちますが、上司が介在しないのではなく、見守りが大切です。見守りは部下の状況によって度合いが変わるということです。
3.指導の目的
そもそも指導の目的は、チームや部署の目標を達成させることです。そのために、部下に対して課題解決的な役割を持ち、部下の育成のために目的志向的に支援サポートする役割を持ちます。目標達成と部下の育成には指導が欠かせません。なぜなら、リーダーの役割はチームの成果と部下の育成だからです。
4.指導の種類ー計画的指導
スケジュールや内容を事前に決めて行う指導です。新入社員が入社したら、入社時研修やビジネスマナー研修を行うように、いつどのタイミングで何をするのかを計画します。全社的に行うものもあれば、ポジション昇格前後や部下の状況に合わせて計画実行するなどさまざまです。
中小企業においては入社3年後から管理職になるまでは、ほぼ計画的な教育指導がされていません。中堅といえば会社にとって重要な人材にも関わらず何もしなければ流出にもつながってしまいます。中堅社員への教育施策の実施率はわずか13%程度しかありません。主に人事部が主導される領域であり、現場の管理職に任せるとおざなりになってしまう恐れもあります。階層別に教育計画を策定し、定期的な面談で確実に指導を実施することを推奨いたします。
5.指導の種類ー機会指導
機会指導は仕事を進めながら、都度で指導をします。計画的指導ではインプットさせきれない現場ならではのノウハウ吸収に適しています。失敗から学ぶことも成功から学ぶことも重要です。部下自身に業務を振り返り内省をさせ、上司がフィードバックすることによって、仕事の全てを学びの機会にすることができます。学習やインプットはとても大切ですが、実体験を伴った気づきに勝ものはありません。
機会指導のタイミング例
・社外対応など人との対応で不適切な対応があったとき、よい対応があったとき。
・会議で意見が出ないとき、積極的な発言があったとき。
・報告がなかったとき、報告があったとき。
・予定より仕事が遅れたとき、前倒しで仕事ができているとき。
・自分の仕事しかしていないとき、チームメンバーをサポートしているとき。
※機会指導は悪い行動の指摘だけではなく、良い行動のときにすることによって質の良い行動を習慣化させることができます。
6.まとめ
管理職の多くは指導方法がわからず、なんとなくマネージメントをしています。管理職が適切な指導をすれば、部下は成長の手ごたえを味わい、成果のみならず会社に対するエンゲージメントも高まります。
指導を適切にするための基準となるものは、それぞれの職務領域や責任の範疇を明確にすることです。御社において、それぞれのあるべき姿を明確にし、社員に浸透・認識させることから初めてみてください。
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