- 管理職向け現場マネジメント研修
- 新人・若手向けビジネススキル研修
JFEロックファイバー株式会社
次の次を育てる視点 - 縦割り組織から組織横断で解決する文化への転換
導入の背景と課題
- 親会社依存の組織構造:役員・部長・課長クラスまで親会社からの出向者が担い、プロパー社員は「言われたことをやればいい」という受動的な風土が定着していた。
- 「上任せ」の問題解決文化:トラブル発生時も縦割りで報告を上げるだけで、組織横断で自主的に解決する風土がなかった。
- 管理職育成のノウハウ不足:プロパー社員を管理職に引き上げる必要が生じたが、ロールモデルがおらず、管理能力や育成能力を伸ばす仕組みが欠けていた。
提供した研修・施策
- 他社交流型現場マネジメント研修:半年間の伴走型プログラムで、実践までフォローする継続的な育成。
- 育成者の育成も視野に:受講者の上司(役員・部長)も巻き込み、育成会議を通じて育成者自身の成長も支援。
- 実践重視のアプローチ:計画だけでなく実践に移すまでをフォローし、上司の理解も得ながら進める体制。
変化・成果
- 部署を超えた連携の芽生え:自分の部署だけでなく会社全体で動く姿勢が強化され、組織横断の意識が向上。
- 対話文化の定着:指示だけでなく会話・対話をするようになり、部下も「最近よく話を聞いてくれる」と実感。
- チーム意識の向上:営業、技術ともに一体感が生まれ、「チームとして一体感が出てきた」という声が部下から上がった。
研修後のデータ
- 組織横断の意識向上:全受講者に共通して「会社全体で動く」という姿勢が強化された。
- 1on1の習慣化:部下一人一人と向き合う時間を持つようになり、対話の質が向上。
- フォロワーシップの芽生え:管理職の変化を見て「自分も将来受けたい」「自分ができることを手伝おう」という意欲を持つ層が出現。
製鉄スラグを活用したエコな断熱材メーカー
Q:貴社の事業内容と強みについてお聞かせください
当社はロックウールの断熱材を製造しております。特に強みとしては、製鉄のスラグを使用することで、他の材料だと常温から1500℃ぐらいまで昇熱するエネルギーが必要なのですが、当社は製鉄の過程で元々1300℃以上の材料を使えるので昇熱のエネルギーが少なくて済みます。カーボンニュートラルに良い、エコな原料です。また、原料が製鉄スラグなので山を掘って原材料を採掘する必要がなく、自然環境に優しい製品です。ロックウール自体は断熱性能に加えて、防音性能、耐火性能(火事になっても避難するまでの時間が確保しやすい)、耐水性能(長期間使っても水を吸わないので性能が長く維持できる)といった特性があります。
Q:他社との差別化ポイントはどのような点でしょうか?
住宅用の断熱市場には様々な材料があり、当社の材料は住宅用断熱材ではシェア5%ぐらいという、ニッチな材料です。当社の売上は年間約70億円で、競合メーカーは2000億円や4000億円と桁が2つ違う規模を持っており、研究開発力や設備投資力でも非常にギャップがあります。ただ一方で、当社はロックウールだけをやっているので、エンジニアも営業もロックウールや断熱材に関しての知識は深いものがあり、お客様に寄り添った提案がしやすいというのが強みです。
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真面目で責任感が強い、現地現物を大事にする社風
Q:貴社の社風や社員の特徴についてお聞かせください
社風や地域柄もあるのですが、基本的には割と真面目で大人しくて、責任感が強いという特徴があります。与えられた仕事については着実にやりきる力を持っています。また、製造業でやってきているので、現地現物を大事にしようという姿勢があります。
プロパー社員の自立と管理職育成が急務に
Q:教育に関してどのような課題を抱えていらっしゃいましたか?
当社は、鉄鋼大手のJFEスチールの子会社のさらに子会社、孫会社という関係にあります。したがって、基本的には役員、部長、課長クラスまで鉄鋼会社からの出向者が来るというのが長く続いていました。プロパーの社員は基本的にあまり自分で管理職に上がるという意欲もなく、かつ言われたことをきちんとやればいいという風土が強かったんです。その中でだんだん親会社の方も人を送ってくる余力もないということもあるし、一方で事業も断熱材に詳しいプロパーが中心になった方が良いところもあるので、出向者をかなり減らしていき、プロパー社員を鍛えて管理職に引き上げていくということが必要になってきました。 ただ一方で、そういうロールモデルがいなくて、管理職と言っても実務ができる人が昇格することが多く、必ずしも管理能力や育成能力というところに対してきちんとした教育もできていないし、そういう能力を伸ばす力が会社としては欠けていたというのが問題点でした。
品質不良やトラブルが起きた時も、起きた当事者は自分の上司に報告を上げる、上司は役員に報告を上げる、とお互いに縦割りで、組織横断で自主的に解決するという風土はありませんでした。上任せで、「私は報告して問題点を言えば後は上が解決してくれる」という風潮がありました。 その辺を、管理職ないしその部下も自律的に動いて、自分で物事を考えて、他者を巻き込んでPDCAを回して解決していく、そういう社員を育てたいなというのが一番あります。 特に品質クレームの対応や開発、全体を巻き込んだシステムなどに課題がありました。
Q:教育に力を入れようと考えた一番のきっかけは何だったのでしょうか?
入ってきた時に全員インタビューをしたんですよね。私が総務担当役員だったので、社員全員と面談をしました。その際、上司自身が管理者の教育を受けていないので、みんなに「とにかく教育しようよ」と言っても無理だよなと思ったんです。これは外の力を使うしかないということで、いくつかのサービスもトライしながらやってきました。
実践とフォロー、そして上司の巻き込みが決め手
Q:数ある研修会社の中からなぜPDCAの学校を選ばれたのでしょうか?
管理職は自分で伸びて欲しいというのがあったので、対話をする、1on1のサービスやコーチングのサービスなど色々考えている中で、やはり伴走していって実践に移すというところが大事だと思いました。これは前の会社で私も研修を受けた中で言うと、座学で3〜4日受けて、その後戻ってきても、実践をしないまま忘れてしまうということと、持って帰っても上司が全くその教育に理解がないので実践が大変難しいという課題がありました。今回PDCAの学校を選んだ理由は、半年間伴走しながら実践をするまでフォローするというところが一つと、もう一つは、教育する管理者の上司、つまり役員や部長になるのですが、その人たち自身も巻き込んで、育成者の育成まで視野に入っているなと思ったので良いのかなと感じました。
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部署を超えた連携と対話の文化が芽生え始めた
Q:研修導入後、具体的にどのような変化が見られましたか?
一概に皆同じではないとは思っていますが、少なくとも全体で共通しているのは、自分の部署だけじゃなくて会社全体で動こうという姿勢が参加者については強化されたのかなというところがあります。部下に対してきっちり時間を取って、一人一人と向き合う時間を皆が持つようになりました。指示だけじゃなくて、会話・対話をするようになったのかなと思います。それは必ずしも直接じゃなくてメールでやる人もいるし、いろんなパターンはあるのですが、少なりともその辺は改善されているのかなと思っています。 部下自身も話を聞くと、「最近よく話を聞いてくれる」というのは出てきている事例も多いので、自分自身も話しやすくなったんじゃないかなと思っています。
Q:具体的な事例や成果があれば教えてください
営業で言うと、Aさんに関しては割と会話や対話が得意じゃないタイプで、どちらかというと部下も相談しにくかったところがありました。今はグループリーダークラスはAさんに相談をこまめに行い、部下からもチームとして動くようになったよねというのは聞いております。また、技術系で言うと、Bさんのところですけど、元々話しやすい、聞いてくれる上司だったんですけど、より深く聞いてくれるようになったよなというところと、若干厳しさも出てきたかなというところも変化として聞いております。
「対話」を通じて人から学び続ける組織へ
Q:育成において特に重視されている考え方を教えてください
自分ができているかどうかというと、多分できていないと思うのですが、自分自身で思っていることは、対話の重要性です。泉谷 閑示さんって知っていますかね。彼の本に書いてある対話の定義があります。まず自分と相手は違うんだよということと、自分が相手と対等であるということを前提とする、自分が相手のことを知ろうとしている、その知ったことによって自分も学んで向上しようとする、そういうことができるような組織になればいいよねとは思うんですよね。別に社長とか上とか下とかではなくて、私は経営の責任を取って決める人、全体を見る人という役割、単なる役割で、あなたはこの総務の仕事をやる役割、あなたは売ってくる役割っていう役割の違いだけであって、人間の上下ではないですよねということです。 一般的に言うと、みんな30〜40になると「俺はもう10年経験積んだから、あとは若手に教えてあげるんだ」「私はもういいんだ、成長しなくていいんだ」という風潮が強い中で言うと、その対話をするということは、おそらくずっと人から学び続けてずっと成長するという意識があるってことですよね。全員にずっと求めたいのは、ずっと成長をしていく、学習をするっていうのをできる、そのための多分一番大事なのが対話なんだろうなと思っています。
次の次を育てる - 2つ上の目線を持つ組織へ
Q:今後の展望と、PDCAの学校に期待することを教えてください
今一番難しいかなと思っているのは、管理職の次の層です。管理職系のコンテンツは役職を持っていないと多分講座を受けてもピンとこないかなというのがあるので、次の世代でそういう組織を担う人の準備段階として参加させられる内容なのかどうか、まだ見極めがついていません。
もう一つは、当社の役員自身が本当に役員としての視野を持てるかどうか、自分自身もそうなんですけどね、役員の教育って意外とされないんですよね。世の中ではビジネスコーチという形で役員もそういうのやらせるのもありますけど、役員・部長が受けていないので、そこら辺をどうしていくのかなと思っています。
個人的には、私も若い頃の職場で、ずっと言われていたのが「目線を2つ上を持っていくこと」と「次の次をちゃんと伸ばせ」ということ。その2つはずっと言われていて、会社入ってからずっと意識していることなんですけど、その2つ上の目線を持って且つ、次の次を育てるという人が中間にいっぱいいないと会社は弱いんだよねということです。
Q:同じような課題を持つ企業へのアドバイスをお願いします
これはもうそれぞれ自分の目で見て、自分の現場に即してやらないといけないから、多分万能の答えはないと思います。とにかくよく話をして、自分の仲間とちゃんと話をすることが大切なんだろうなと思うんですよね。私たちの会社でも全員と面談するとか、なかなか社員と話す機会を設けることができていない「そんなことしたことないです」という人が多かったんですよね。教科書通りやるよりはまずはお互いに相手が「何を考えてるのか」「どんなことをして欲しいのか」を聞くことが大事で、多分自分が思っている問題点と部下が持っている問題っていうのは相当違うと思うんですよね。 そのGAPを埋めに行く作業がまずは大切だと感じます。
奥本 訓史様プロフィール
JFEロックファイバー株式会社 代表取締役社長。
東京大学経済学部卒業後、1985年に日本鋼管 (当時)入社。 京浜製鉄所や本社にて原料購買・生産管理・営業管理・企画などの業務を経験。 2002年に日本鋼管が川崎製鉄 と経営統合し、JFE (ジェイエフイー) スチールとなって以降は、JFE本社にて営業部門や生産 総括室長を経験。2010年から九州支店長を務めたのち、2013年に中国広州 JFE鋼板へ出向。 2018年から子会社であるJFEミネラルに移籍し、コンデンサやリチウムイオン電池の材料調達や 営業のプロジェクトに従事。 2021年にJFEロックファイバーに移籍し、以降現職で力を発揮する。社員全員との面談を通じて組織の課題を把握し、外部の力を活用した教育改革に着手。「対話」を重視し、泉谷 閑示氏の対話の定義を大切にし、自らも対話力の向上に取り組んでいる。「目線を2つ上に持つこと」「次の次を育てること」を重視し、プロパー社員の自立と次世代リーダーの育成に注力している